「にじさんじ」時価総額フジテレビ超え……26歳代表資産は1000億円超、30人以上の従業員も億万長者へ古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(4/4 ページ)

» 2022年06月17日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]
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ストックオプションを行使する際に「いくら支払うのか」を確認する

 最後に、ストックオプションを行使する際に、場合によっては多額の支払いが事前に発生する点について注意しておきたい。

 ストックオプションはあくまで「決められた価格で株式を買う権利」である。従って、あなたが「1株1000円で1万株を買える」というストックオプションを持っている場合、まずあなたは1000万円を用意しなければならない。

 この時、ストックオプションを行使して得られる1万株の価値が2000万円であれば、1000万円を借りてストックオプションを行使することで2000万円の分の株式が得られるため、1000万円の利益を得ることができる。反対に、付与時よりも株価が低い場合には、1000万円を借りて例えば800万円の株式を取得するメリットは皆無であるため、「行使しない」という選択肢をとればよい。

 証券会社や銀行では、ストックオプション保有者専門の「ストックオプション行使代金ローン」といったローン商品も存在する。基本的に行使価格よりも市場価格が高い場合は審査に通る可能性が高いため、自己資金に乏しい場合はこのようなサービスの利用価値もある。

 株式報酬は、金融リテラシーをある程度つけておかなければ逆に「搾取」されてしまうようなことにもなりかねない。企業の成長に対して正当な報酬が得られるような制度設計が会社と従業員の未来を形成していく上で重要である。

筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCFO

1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CFOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら


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