そして、ANYCOLORの特徴は従業員にも株式報酬を多く分け与えている点だ。そのため上場にあたり、創業者の田角氏だけ経済的恩恵を受けたわけではなく、多くの従業員も、「にじさんじ」成長の果実を得ることができた。
下世話な話かもしれないが、ある企業の上場が決定した時に、スタートアップ界隈や市場参加者の多くがある意味で最も楽しみにしているページが、「大株主名簿」と「ストックオプション付与状況」である。企業の体質は、実はこの2つのページに凝縮されているといっても過言ではない。
このページは、従業員にとっても自社の株主構成を初めて目にする場であるケースがほとんどだ。自身が同僚と比べてどれだけ評価されていたかを、持株比率という客観的な指標から目の当たりにする生々しいページでもある。筆者のように性格の歪んだ人々は、そのページから会社の内情やドラマを推察するのである。
ベンチャー企業の中には、従業員にほとんど株式を付与しない創業者もいる中で、ANYCOROLは従業員等に広く株式を付与している点で、大変好感が持てる。
同社の大株主リストには30人以上の従業員が名を連ねており、最も少ない株数である1万5000株の割り当てでも時価にして1億3500万円の価値がある。したがって、ANYCOLORでは30人以上の従業員が億万長者に変身したことになる。
また、株主リストにはその他117名も名を連ねており、この部分の多くも従業員であることが予想される。117人の持ち株数は約40万株で、一人あたりの平均で3000万円ほどの資産を保有していることになる。
これに加えてストックオプション(新株予約権)が一人あたり45000株(約4億円)から1500株(1350万円)付与されており、従業員にとっても「ベンチャードリーム」となったといえるだろう。
しかし、そんな株式報酬にもデメリットがある。そこで今回はストックオプションのような株式報酬について気をつけるべき点を記しておきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング