クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ステップワゴンが予告から半年も売らなかったワケ ホンダ、ロング・ティーザーの狙い 鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)

» 2022年06月21日 07時00分 公開
[鈴木ケンイチITmedia]

 5月27日に、ホンダのミニバンである「ステップワゴン(STEP WGN)」が発売となりました。「家族それぞれのライフスタイルを素敵に引き立てる」ことをコンセプトとした第6世代モデルです。

 しかし正直なところ、「やれやれ、ようやく発売になったのか」というのが筆者的な感想です。では、なぜ、そんな感想を抱いてしまったのか。それは新型登場の予告が半年も前に行われていたからです。

2021年の暮れ、新型モデルの横側だけを公開したステップワゴン(ホンダ資料)

「ようやく発売」のロング・ティーザー

 最初に新型「ステップワゴン」の情報がホンダから発信されたのは、2021年の暮れ、12月10日のことでした。ここでデザインの一部、新型モデルの横からの姿が公開されました。春に発売予定というだけで、詳細は明かされていません。

 そして年も明けた1月7日にデザインを初公開するオンライン・イベントを実施。さらに3月にデザイナーからの情報発信がなされました。そして5月になって、ようやく詳細な情報を含む正式発表が行われ、27日より発売が開始されたのです。

 これは情報を小出しにしてゆく、いわゆる「ティーザー広告」です。日本のクルマの販売としては珍しくもありませんが、さすがに、今回のように半年も前という例はあまり目にしません。普通の新型車は、発表ギリギリまで情報を伏せ、発表後に幅広くプロモーションを実施するもの。ティーザーを行っても、2〜3カ月というのが大多数です。

 従来のティーザーが2〜3カ月だったのは、購入までの流れを考えれば、当然のことでしょう。ユーザー目線でいえば、最初にネットや紙媒体などの記事で新型車の登場を知り、それをきっかけに購入を検討、そしてディーラーに買いに行くというのが段取りとなります。ところが、あまりにティーザーが早すぎると、ディーラーに行っても売っていません。今回の場合は、価格も詳細も明かされていませんでしたから、検討もしにくかったはず。

 いったいホンダは何を考えていたのでしょうか? そこでホンダの広報部に話を聞いてみました。

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