近年、こうした駅係員たちによる意匠を凝らした作品を展示する駅が出てきており、SNSを中心に話題となる例が増えている。
小田急電鉄の相模大野駅(相模原市南区)では、駅係員が描く精巧なチョークアートが話題となり、駅の名物ともいえる展示アートになっている。JR富山駅やJR岡山駅では、乗客の忘れ物にメッセージカードを添えて返送する取り組みが「心温まる」と反響を呼んでいる。
沿線で開催中のイベントに関連した「菖蒲まつり」のデコレーション(提供:西武鉄道)
元運転士で鉄道アナリストの西上いつきさんによると、鉄道各社はCS(顧客満足)だけでなく、CD(カスタマーディライト・顧客感動)の向上に向け、会社単位ではなく駅単位で取り組む動きが増してきているという。CDとは、顧客に期待以上のサービスを提供することで、顧客の想像を上回る喜びや感動を提供することを指す。
「コロナ禍で鉄道各社とも減便を余儀なくされ、利用客も減少するなど大きなダメージを受けた。業界全体が暗い雰囲気の中、駅係員の方々も利用客に楽しんでもらえるような取り組みを積極的に検討されている」(西上さん)
鯉のぼりのデコレーション(提供:西武鉄道)
駅係員たちによる能動的なアイデアは、企業の価値やブランディングの向上に大きく寄与するといい、西上さんは「今後も現場レベルでの取り組みが増えていくだろう」としている。
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