食洗機を阻む30センチの壁 「一家に一台」になれるのか、メーカーの苦悩令和の神器(1/4 ページ)

» 2022年06月30日 07時00分 公開
[菊地央里子ITmedia]

 令和の現代人に欠かせない「新・三種の神器」は、「ドラム式洗濯機」「ロボット掃除機」「食洗機」だといわれている。スリーエムの調査によると、新・三種の神器のうち、いちばん多くの人が所有している家電は食洗機(36%)だった。しかし詳細を見ると、新築や持ち家のなどビルトイン型が大多数を占め、賃貸住宅では普及しているとは言い難い。食洗機を賃貸住宅にも普及させようと、家電メーカー各社が知恵を絞っている。

食洗機 賃貸住宅での普及が難しい食洗機(写真提供:パナソニック)

 60年前から日本の食洗機市場をけん引してきたパナソニックが着目したのは、食洗機を「買わない」理由だ。欲しいし使ってみたいのに、置く場所がない、置ける食洗機がないと、サイズを理由に諦めている人が多かったのだ。「では、その根本を解決する製品、賃貸住宅でも置ける食洗機を作ろうと開発を始めました」(同社キッチン空間事業部国内マーケティング部食洗機担当の宮本侑弥さんと山本秀子さん)

 開発に当たっては、定量調査に加え、フィールド調査を何度も行ったという。調理スペースやカウンターの上、シンク横など、想定される設置位置に、さまざまなサイズや形のサンプルを置いて検証を重ねた。

食洗機 食洗機の最適な設置場所は、シンク横(写真提供:パナソニック)

 検証から、食洗機の最適な設置場所は、これまで多くの人が置いていた調理スペースではなく、シンク横であることが判明した。さまざまな賃貸住宅のシンク横の形状や広さなどを数値化すると、一般的な賃貸住宅でのシンク横の平均は、30〜40センチ未満(49.2%)であることが分かった。

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