タカと一緒に飛ぶことができる! 知られざる「パラホーキング」の世界3分インタビュー(2/3 ページ)

» 2022年07月17日 08時15分 公開
[土肥義則ITmedia]

警戒心を解く

――タカといえば狂暴な鳥といったイメージがありますが、そのタカをどのようにして飼い慣らしているのでしょうか?

伊代野: このサービスは2017年から始めているのですが、経験者に教わったわけではありません。個人的に野鳥を飼育したことがなかったので、どのようにすればいいのかまったく分かりませんでした。猛禽類の飼育に詳しい人に話を聞いたところ、「成長したタカを教育するのは難しい。ヒナから訓練させなければいけない」と言われまして、ヒナを飼うことにしました。

 で、どのように訓練していったのか。警戒心をなくすために、少しずつ「距離」を縮めていくことにしました。いきなりパラグライダーを目にすると怖がるので、遠い距離から見てもらう。少しずつ近づけていって、慣れてもらうといった形ですね。訓練期間は、巣立ちをしてから4カ間ほどかかります。

――警戒心を解くことが重要なポイントになりそうですが、タカはどんなことに警戒しているのでしょうか?

伊代野: たくさんあります。訓練をしているときには、私がパラグライダーに乗ってエサをあげていました。もちろん、なかなかうまくいかなくて、何度も何度も訓練を重ねて、やっとできるようになったんですよね。「じゃ、これで大丈夫だ!」と思って、前にお客さんに乗ってもらって、エサをあげてもらいました。しかし、タカは警戒して近寄って来なかったんです。

 なぜ近寄って来なかったのか。お客さんではなく、私がエサを与えなければいけないのか。そのように考えて、試してみたものの、うまくいかなかったんですよね。じゃあ、どこに原因があったのか。「これかな?」「あれかな?」と探っていった結果、パラグライダーのサイズに問題があることが分かってきました。

 訓練のときには、1人乗りのパラグライダーを使っていましたが、お客さんを乗せたときには2人乗りを使わなければいけません。しかし、2人乗りはサイズが大きくなるので、タカはそれを見て警戒していたようでした。

 では、その問題をどのようにして解決したのか。やはり、少しずつ少しずつ慣れてもらうしかないんですよね。最初は収納している状態のモノを見てもらう。次に、広げた状態のモノを見てもらう。次に、上空を飛んでいる姿を見てもらう。そのときも、最初は遠くから見てもらって、少しずつ近寄っていくといった流れですね。

 何かできないことがあれば、違うやり方で3回試してみる。それでもダメな場合、また違う方法でやらなければいけません。2回目でできるようになれば、そのことを3回繰り返す。そうすれば、タカは習得してくれるんですよね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.