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タイム・マネジメントの本質とは? 自分を導くリーダーシップのことマネジメントの真髄(2/3 ページ)

» 2022年07月22日 08時00分 公開
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 スティーブン・R・コヴィー博士は『7つの習慣』のなかで、「すでに従来型のタイム・マネジメントの考え方は、現代では通用しなくなっており、自分の本来の役割を果たし、人間関係を重視しながら、Win-Winのビジョンを実現するためには、「第四世代のタイム・マネジメント」が必要だ」と提言しています。

 次の図は、『7つの習慣』で有名な「時間管理のマトリックス」ですが、「第四世代のタイム・マネジメント」は、「第II領域」であるというのは、ご存じの通りです。

時間管理のマトリックス(「7つの習慣」より作成)

 緊急で重要な領域である「第I領域」は、「危機」や「問題」「指示・指令」の領域です。 緊急度が高く、重要度も高いため、多忙なビジネス・パーソンは、ほとんどこの領域の仕事に費やすでしょう。自分では重要ではないと思っても、依頼者からすれば緊急で重要度が高いことのほうが多いでしょう。この領域の仕事は問題を解決しますから達成感も大きく、癖になりやすいのも特徴です。ところが、この領域の仕事は心身とも大きなエネルギーを要するため、ストレスも半端なく、やがては疲弊してしまいます。

 ですから、タイム・マネジメントの極みはこの領域の問題を解決することだと思う人も少なくありません。しかし、この領域の活動は計画のしようがありません。いかんせん、突然飛び込んできてしまいますから、計画の立てようがないわけです。ですから、この領域に対応するビジネス・スキルは、時間管理能力と言うよりも、瞬間的な判断能力や問題解決能力が求められます。

 つまり、極論すれば、緊急事項に対応することとタイム・マネジメントは、そもそも相容れないスキルだと言えるかもしれません。

 そこで、緊急ではないものの重要な領域である「第II領域」の活動が重視されるわけです。ここの活動は、緊急性がないということですから、自分やチームの将来にとって重要なことです。ビジョンをつくること、そのための計画をつくること、能力開発や人間関係を構築すること、などです。まさにリーダーシップに関する活動だと言えます。

 タイム・マネジメントが、自分やチームを導くリーダーシップであると言えるのは、こういう活動を計画することこそが、タイム・マネジメントの真髄であるからです。

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