“絶滅危惧種”と呼ばれた「ドムドムバーガー」は、なぜ蘇ったのかスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2022年07月26日 09時30分 公開
[窪田順生ITmedia]
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チャレンジを避けてきた

 規模は大きくないのに、大企業病のように何も新しいことにチャレンジできなくなってしまう。かつてのドムドムバーガーもそうだった。規模は大きくないのに、マクドナルドやモスバーガーとそれほど変わらない品ぞろえで同じような戦い方をしていた。そして、常連客を守るために新しいチャレンジを避けてきた。

イオン海浜幕張店のフードコートに出店

 そういう老舗の保守的なところを、藤崎社長がその自由な発想でぶっ壊した、というのがドムドム再生の最大のポイントではないか、と個人的には思っている。

 ドムドムバーガーの復活は「小さな老舗こそ、常識にとらわれない攻めた戦い方ができる」という事実を、これ以上ないほど分かりやすく証明した。巨大チェーンやグローバルブランド企業では、何か革新的なことを始めるにしても社内稟議と調整に莫大な時間がかかってしまう。「ウチらしくない」「失敗したら誰が責任を取るんだ」という反対意見も多い。

 しかし、ドムドムは藤崎社長のリーダーシップですぐに実行に移すことができる。27店舗しかないので、ハンバーガーチェーンの常識に反した施策も打ちやすい。まさしく、「持たざる者」にしかできない理想的な戦い方だ。

 苦しい戦いを強いられている全国の老舗企業にとって、ドムドム復活から学べるものは多いのではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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