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「つながらない権利」を守るために、企業がすべき3つのこと切ない事態を招かないために(4/4 ページ)

» 2022年07月28日 08時11分 公開
[秋沢崇夫ITmedia]
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プライベートを尊重する組織

 特にテレワークにおいては、いつでもどこでも働くことができてしまうがゆえに、つながりやすい環境にあること、それが心身の負担につながることを指摘してきた。しかし、一概に「午前9時〜午後5時以外の連絡は禁止」とすることが絶対に正しい、と言い切ることはできないとも考えている。業種や従業員の属性など、企業体制によって事情は異なるからだ。

 例えば、副業というスタイルでその企業に従事している人は、夜間しか連絡ができないこともあるだろう。また、海外在住の従業員がいる場合には、時差の関係でそもそもの稼働時間が異なることも考えられる。

 ただし、このような企業環境にある場合でも「つながらない権利」を尊重するために、相手を思いやることはできる。例えば、チャットのプロフィールに「午前10時〜午後4時稼働」「7月20日〜25日休み」など、各々が自分のコアタイムや休暇を明記する方法がある。こうすれば、相手の休みを慮(おもんぱか)ることが可能だ。

 大切なのは、個人の抱えるさまざまな事情や働き方、そしてプライベートを尊重することだ。そのことを、従業員一人ひとりが意識する社内風土を醸成することが組織のあり方として重要である。

 それを実現するために、まずは経営者である自分自身がそれを体現すること、そして言葉で確実にメンバーに伝えていくことを意識しなければいけない。従業員一人ひとりがそれぞれのプライベートを大切にしながら、働きやすい環境をつくることが、結果として強い組織になると信じている。

秋沢崇夫:

 1981年東京都生まれ。青山学院大学卒業。

 2004年株式会社ガイアックスに入社し、営業、事業開発に関わり営業部長に。32歳で退職後、一人旅の最中にリモートワークを経験。「このスタイルであれば場所や時間に捉われることなく自分らしい生活を実現できる」と実感し、さまざまな働き方や生き方の選択肢があってもいいのではないかと考えるように。帰国後「多くの人の働く選択肢を増やしたい」との思いから「HELP YOU」 を立ち上げる。


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