日本においては、法制化とまではいかないまでも、21年3月に改訂された厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」において、時間外や休日などに、メールなどに対応しなかったことを理由に、不利益な人事評価を与えることは適切ではない旨が明記された。
また、テレワークにおける長時間労働を防ぐ手法として、時間外などにおける業務の指示や報告のあり方について、ルールを設けることなどが挙げられている。(参照リンク、PDF)
いずれも強制力があるわけではないが、これらの注意喚起が明記された背景には、コロナ禍がもたらしたテレワーク普及により、以前にも増して「つながりやすい環境」に多くの人が置かれている現状がある。
テレワークは、出社せずともメールやチャットで業務を済ませられるというメリットがある。これは裏を返せば、休日・業務時間外であっても「つながることができてしまう」というリスクをはらんでいるともいえる。
マネジメントをする立場にある上司/経営者は、特にこのことを強く認識する必要がある。「どうせ在宅勤務だから」と、休日や夜間にもかかわらず、業務連絡のメールを送信してはいないだろうか?(上司側にとっては何気ない)その行為は、部下に相当なストレスを与えているかもしれない。
21年にNTTデータ経営研究所が行った調査では、「就業時間外において業務に関して緊急性のない電話やメール(LINE などを含む)」に対して、「連絡があれば対応したいと思う」「できれば対応したくないが、対応するのはやむを得ないと思う」と回答した従業員は合わせて64.9%にものぼった。つまり、多くの従業員は「緊急性がなかったとしても、連絡があれば対応しなければいけない」と考えているのである。(参照リンク、PDF)
ただでさえ、テレワークは仕事とプライベートが曖昧になりやすい。そのうえ、就業時間外にくる上司からの連絡をも許していたら、それは年中無休のオフィスにいるのと同じことだ。結果として、長時間労働を招くことにもなる。
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