「セサミプレイス」に33億円求め提訴 「黒人の少女拒否」で家族ら問われる企業の人権意識

» 2022年07月29日 17時40分 公開
[ITmedia]

 人気子ども番組「セサミストリート」をテーマにした米国の遊園地で人種差別を受けたとして、米ボルチモアの家族が遊園地の運営元に対し、総額2500万ドル(約33.1億円)の損害賠償を求めてペンシルベニア州の連邦裁判所に提訴した。米ABCニュースなどが現地時間の7月28日に報じた。

セサミプレイスで人種差別を受けたとして家族が遊園地の運営元に対し2500万ドルの損害賠償を求め提訴した(ゲッティイメージズ)

 この問題をめぐっては、同州の遊園地「セサミプレイス」で、パレード中に黒人の女の子2人が人気キャラクターに触れ合おうとしたところ、キャラクターが手と首を横に振り、拒否したように見える動画が7月16日にSNSに投稿され、遊園地への批判が高まっていた(関連記事)。

 ABCニュースによると、提訴した男性は、拡散した動画を見て「自身の娘が受けた対応と同じだ」と思い、提訴に踏み切ったという。

 男性は6月に同じ遊園地を訪れた際、パレードの最中に娘がキャラクターに無視されたと主張している。セサミプレイス側はABCニュースの取材に「法的プロセスを通じて対処する」と話している。

動画の拡散を受けてセサミプレイスが公表した謝罪文(Instagramの投稿より)

 SNSでは、セサミプレイスで過去にも黒人の子どもたちが、同様の差別的な対応を受けたとする複数の動画が投稿されており、「炎上」状態となっている。

 SNSへの投稿が元となり明らかになった今回の問題は、レピュテーション(評判)リスクにとどまらず、訴訟という法務上のリスクに発展しており、「ビジネスと人権」に関する企業の姿勢があらためて問われる事態となっている。

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