うなぎ四代目菊川は17年10月、1号店を名古屋市内の商業施設「グローバルゲート」に出店。19年4月、名古屋の覚王山に2号店を出店した。
コロナ禍になって13店を一気に出店し、エリアも東京、横浜、大阪、京都、福岡、金沢、三重県に拡大した。現在はテークアウト専門の1店を含めて15店となっている。
創業90年のウナギの老舗卸問屋である中庄商店の四代目、菊川雄平氏が設立した外食の会社、パッションギークス(愛知県北名古屋市)がうなぎ四代目菊川を経営。顧客の前で目利きしたウナギをさばき、焼き上げる「一本鰻」が売りだ。約300グラムの大サイズの脂の乗った新鮮なウナギが、ライブキッチンにて、顧客が見ている前で提供されるので迫力満点だ。
値段は今年4月にオープンした東京駅黒塀横丁店で、うな丼(吸物、漬物付)が3280円、蒲焼き一本重5180円などとなっていて、こちらも関西流の焼き方が特徴だ。
以上のように、ファストフードから本格的な関西流の専門店まで、全般に好調なウナギ業態であるが、最大のリスクはウナギの個体数が減っていることである。日本、韓国、中国、台湾、ベトナムなどといった東アジアに生息するニホンウナギは、国際自然保護連合(IUCN)から絶滅危惧種に指定されている。
今のところ、卵から成魚にまで生育させる養殖の技術は確立されておらず、天然の稚魚のシラスウナギを捕獲して養殖池で育てているのが実情だ。
欧州に分布するヨーロッパウナギも、個体数減少により、ワシントン条約で輸出国政府の許可のない国際取引が、禁止されている。
個体数が少ない絶滅危惧種なのだから、ウナギの値段が高いのは当然だ。養殖の技術が確立されるまでは乱獲を防いで、個体数を維持しながら、いかに日本の食文化であるウナギ料理を守っていくかが重要であることはいうまでもない。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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