エンタメ系のレストランを運営するのは難しい――。コロナ禍にそれが浮き彫りになったわけだが、23年間も営業を続けることができた、最大の要因は何か。個人的には、2つあると思っている。1つは先ほど紹介したように、「時代に合わせて変化してきたこと」である。スマホの普及によって客の楽しみ方が変わったが、その動きに合わせるような形で、店を運営してきたことが大きい。
もう1つの理由は、「あきさせない工夫」だ。例えば、モンスターショー。「面白そうだけれど、何度も行けばあきるのでは?」と感じられた人もいるかもしれない。店側は「あきさせない工夫」として、100種類以上のシナリオを用意していたのだ。いつ来店しても違うストーリーを楽しめるようにしていたが、基本的なストーリーはあった。
何らかのトラブルが生じて、モンスターが逃げ出してしまう。店内を騒いで歩き回ったり、監獄にやって来たり。そこにポリスが登場して、モンスターを逮捕するといった内容である。毎回、シナリオを大きく変えるとスタッフの負担が大きくなるので、それはしない。しかし、客をあきさせないために、ダンスを取り入れたり、音楽を変えたりして、少しずつアレンジを加えていったのだ。
さて、閉店にあたって、最後のイベントを実施した(6月21日〜7月31日)。連日満席で、客からは「若いころ合コンで使ったよ」「デートで利用したけれど、うまくいかなかった(涙)」といった声も。店を継続できなかった会社に対して、ファンから次のような声が聞こえてきそうだ。
「逮捕だ。監獄に入りたくなければ、モンスターのように復活せよ」と。
ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
“絶滅危惧種”と呼ばれた「ドムドムバーガー」は、なぜ蘇ったのか
“売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング