「さようなら、監獄レストラン」 なぜ23年も運営できたのか水曜日に「へえ」な話(4/4 ページ)

» 2022年08月03日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]
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23年も続けることができた要因

 エンタメ系のレストランを運営するのは難しい――。コロナ禍にそれが浮き彫りになったわけだが、23年間も営業を続けることができた、最大の要因は何か。個人的には、2つあると思っている。1つは先ほど紹介したように、「時代に合わせて変化してきたこと」である。スマホの普及によって客の楽しみ方が変わったが、その動きに合わせるような形で、店を運営してきたことが大きい。

悪魔の輸血

 もう1つの理由は、「あきさせない工夫」だ。例えば、モンスターショー。「面白そうだけれど、何度も行けばあきるのでは?」と感じられた人もいるかもしれない。店側は「あきさせない工夫」として、100種類以上のシナリオを用意していたのだ。いつ来店しても違うストーリーを楽しめるようにしていたが、基本的なストーリーはあった。

 何らかのトラブルが生じて、モンスターが逃げ出してしまう。店内を騒いで歩き回ったり、監獄にやって来たり。そこにポリスが登場して、モンスターを逮捕するといった内容である。毎回、シナリオを大きく変えるとスタッフの負担が大きくなるので、それはしない。しかし、客をあきさせないために、ダンスを取り入れたり、音楽を変えたりして、少しずつアレンジを加えていったのだ。

オリジナルカクテル

 さて、閉店にあたって、最後のイベントを実施した(6月21日〜7月31日)。連日満席で、客からは「若いころ合コンで使ったよ」「デートで利用したけれど、うまくいかなかった(涙)」といった声も。店を継続できなかった会社に対して、ファンから次のような声が聞こえてきそうだ。

 「逮捕だ。監獄に入りたくなければ、モンスターのように復活せよ」と。

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