政府が推進するマイナンバーカードを活用した、半官半民というべきサービスが広がりを見せている。LINEとLINE Payが8月2日に発表した「LINE Pay公的個人認証サービス」がそうだ。
これは、LINE Payが開発した自治体向けサービスで、自治体のDXを進めるための施策の1つ。導入した自治体では、LINE公式アカウントで受け付けを行い、続いてLINEからマイナンバーカードを読み取ってもらうことで、証明書の交付や各種申請を受け付ける。
2021年12月にスタートした富山県魚津市を皮切りに、東京都渋谷区、神奈川県座間市、愛知県東郷町、広島県福山市、広島県三次市といった自治体が、先行導入した。さらに7自治体で導入予定となっており、今回の正式発表にあたり、広く自治体からの申し込みを受け付ける。
マイナンバーカードを取得すれば、全国のコンビニで住民票や印鑑証明書、戸籍謄本などが取得できる。深夜でも利用できるし、即時取得可能、料金も安価だ。では、LINEを使って証明書交付などを行えるメリットは何か?
1月から本サービスを先行導入した渋谷区の、デジタルサービス部デジタルサービス推進担当課長の宝田英之氏は、「LINEを使うニーズは、これまで郵送が必要だったケースだ」と話す。
例えば、納税証明書は1月1日時点に居住している地域の自治体に申請することになるが、引っ越しをした場合などはこれまで出向くか郵送で申請が必要だった。LINEのサービスを利用すれば、LINE内で申請と本人確認が完了し、さらに料金もLINE Payから支払える。ワンストップでサービスが完結し、しかも手軽だ。
また富山県魚津市のケースでは、「独身証明書の発行申請は、LINEからの依頼が100%。手軽に申請できる点がよい」(本サービスを担当しているLINE Payの公共推進チームマネージャーの龍勝規氏)という。対面で依頼するのに一種抵抗感を抱くものについても、LINE経由ならばハードルが低いというわけだ。
また渋谷区のケースでは、保険料還付請求について「申請の半数近くがLINEを利用したものだった」(宝田氏)という。これは対象者が限定されているもので、LINEを使って対象者に周知を行い、導線を案内することでかなりの利用が見込まれるのだという。
現在の行政の仕組みでは、還付金や補助金などを受け取るには本人からの申請が必要なものが多く、役所側はどうそれを案内し、申請をサポートするかに心を砕いている。LINEはそれをうまく行うツールになり得るというわけだ。
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