インボイス制度、約4割の企業が「知らない」と回答 1月施行の電子帳簿保存法も「則して運用している」企業はわずか2割に

» 2022年08月05日 14時08分 公開
[季原ゆうITmedia]

 クラウド型経費精算システム「楽楽精算」を提供するラクスは、全国の経理担当者848人を対象に、2023年10月開始の適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度)と、1月施行の改正・電子帳簿保存法に関する意識調査を実施した。その結果、インボイス制度について約4割が「知らない」と回答し、電子帳簿保存法については「則した運用をしている」と回答した企業はわずか2割だった。

photo インボイス制度と電子帳簿保存法の意識調査実施(出所:写真AC)
photo インボイス制度の認知度(出所:プレスリリース)

 インボイス制度の認知度については、「名称は知っているが、どのような内容か知らない」と回答した企業が19.3%、「名称も内容も知らない」が18.0%と、合計37.3%が「インボイス制度を知らない」と回答した。22年3月の同調査においても同様の回答は37.1%だったことから、横ばいの状態が続いている。

photo 適格請求書発行事業者登録についての状況(出所:プレスリリース)

 適格請求書発行事業者の登録状況について尋ねると、「既に登録している」と回答したのが38.4%、残りの61.6%の企業は「未登録」だった。23年10月のインボイス制度開始から登録を受けるためには、23年3月末までに適格請求書発行事業者登録申請を行う必要があり、早期対応が求められる。

photo 取引先が適格請求書発行事業者登録をしていない場合の会社の方針(出所:プレスリリース)

 現在の取引先が、適格請求書発行事業者登録をしてない場合の、インボイス制度適用後の取引について、会社の方針を尋ねた。その結果、「取引を継続しない」と回答した企業は7.0%、「取引を継続するか検討する」は55.7%となった。登録をしているかどうかは、請求書受取側(買い手側)にとって、仕入税額控除を受けることができるかの重要なポイントとなるため、今後の取引獲得や継続に大きな影響を与えることがうかがえる。

photo 電子帳簿保存法についての会社の状況(出所:プレスリリース)

 次に、電子帳簿保存法に則した運用をしているかについて尋ねてみると、「運用している」と回答した企業はわずか23.3%となった。

photo 従業員規模別「電子帳簿保存法に則して運用している」割合(出所:プレスリリース)

 従業員規模ごとに見てみると、従業員規模「300〜1999人」の企業のうち「則した運用をしている」と回答した割合は32.0%であるのに対し、従業員規模「30〜299人」の企業の割合は18.9%という結果となった。

photo メール添付や電子請求書等で受け取っている場合の保存法(出所:プレスリリース)

 現在、メール添付や電子請求書などの請求書を受け取っている場合の電子取引関係書類の保存法について尋ねると、「猶予期間が設けられたので、電子で受け取った請求書を、従来通り紙に印刷し保存している」と回答した企業が最も多く31.6%となった。

 また、「取引先に紙での請求書発行に切り替えてもらい、紙の請求書を保存している」と6.3%の企業が回答し、電子帳簿保存法への理解浸透にも課題がある様子がうかがえる結果となった。

photo 電子帳簿保存法に則した運用をしている企業の対応法(出所:プレスリリース)

 最後に、既に施行されている電子帳簿保存法に対し「電子帳簿保存法に則して運用している」と回答した企業は、どのように対応しているか聞いたところ、「既に電子帳簿保存対応可能なシステムを導入済みで、当システムで電子保存を行っている」と47.0%の企業が回答した。

 調査は、全国の経理・財務・会計担当者848人を対象にインターネットにより実施した。調査期間は2022年6月22〜27日。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.