同社はくらしのマッチングサイト「楽ラクーン」を2020年に開発、リリースした。これはおそうじ本舗だけではなく、競合の清掃会社にもプラットフォーム上に出店してもらい、HITOWAやおそうじ本舗が受けた注文を出店者に割り振っていくサイトだ。
最近は需要が大きく、注文を受けてもおそうじ本舗のお客に1カ月ほど待たせてしまうケースも出てきた。それを防ぐために、同社のフランチャイズ(FC)の店以外の清掃会社にも参加してもらい、すぐに対応してもらおうと考えたのだ。
「これは、B2B2Cのサイトです。一般のお客さまに訴求していく中で、しっかり市場シェアをとり、価格をリードする。多くの業者に参加してもらうことによってサービスの質を高めていきたいと思い、新たに立ち上げました」
質という言葉が出たが、おそうじ本舗はFC制を採用している。FCではサービスの質に差が出やすくなる。
「確かに標準化が最も難しいところです。コンビニなどはスタンダード化しやすいですが、クリーニングビジネスでは床のきれいさは100人いれば100人とも基準が違います。また、家に入ってモノを壊したり、モノを盗んだりするのではないかと警戒もされます。
ただ、当社のFCは基本的にオーナーが多く、家を拠点に仕事をしています。ですので、周辺住民もオーナーの人物像を理解しています。また、ハウスクリーニング(清掃)を頼む場合は、オーナー自ら足を運ぶことが多く、それが安全、安心につながっています」
見澤社長は仮に大資本が参入しても、ノウハウの蓄積があるので、業界がひっくり返ることにはならないと話す。
「教育が大事で、毎年研修をやった分だけストックになります。洗剤の知識、道具の使い方などといった技術は1年やってできるものではありません。教育に時間をかけることによって差別化を図れると思っています」
そのノウハウにはクレーム対応も含まれているという。
「お客さまによってきれいの尺度も違います。信用がないと、お客さまの勘違いによって、モノがなくなったという事態が発生する場合があるんです。一方、きれいになったことによって、逆に傷が表れて『傷つけた』と指摘されるときもあります。
昔は写真を撮ったりしていましたが、それはお客さまの心情的にうれしいものではりません。今は一緒に機械の動作確認をする、汚れはどこにあるなど全て合意した上で清掃をするようにしています」
筆者の家の郵便受けには、水回りの修理のマグネット付き広告などが時折、入っている。彼らが掃除方面までビジネスを広げてくる可能性もゼロではない。
「ただエアコン掃除は緊急性が高いものなので、ハウスクリーニングとはそこまでの類似性はないと思っています。彼らはドアをノックできると思いますが、技術力、接客力、安心感で差をつけられるはずです」
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