ガチすぎる! 世界初、シェラトンに導入した“飛行機”が面白い水曜日に「へえ」な話(2/4 ページ)

» 2022年08月10日 08時10分 公開
[土肥義則ITmedia]

施設の目玉は2つ

 「よければ、ドイさんも操縦しませんか?」――。ホテルの担当者にお声がけいただいたので、体験してみることに。機長が座る左側の席に腰をおろして、羽田空港から飛び立った。椅子の感触は、正直に言って「狭いし、座り心地が悪い」。なにもディスっているわけではなく、筆者は別のところでもフライトシミュレーターを体験したことがあるが、そこの椅子もカタサといい角度といい、お世辞にも「座りやすい」モノではなかったのだ。

 横に座っているインストラクターに、椅子の謎を尋ねたところ「操縦時、パイロットは寝てはいけませんからね。心地よい椅子はダメなんですよ」とのこと。半分ホント・半分ジョークとして受け止め、目的地のスカイツリーを目指すことに。

 距離にして数十キロなので、数分で到着する。スカイツリーの高さとほぼ同じ目線で、周囲をグルグル回ってみた。ツリーの高さは634メートルなので、実際その高度で飛ぶことはできない。もちろん、周囲を旋回するなんて、もってのほかである。しかし、誰かに怒られることはない。パイロットと同じように操縦するのもよし、自分の思いのままに飛ぶのもよし、なんでもござれの世界である。

 この施設の目玉は、もう1つある。約13メートルの長さをもつ客室モックアップだ。マクドネル・ダクラス社で製造された旅客機「MD-90」の客室を採用している。初飛行は1993年で、退役したのは2020年である。日本の航空会社も使っていたので、現物をみると「懐かしいなあ。出張でよく使っていたよ」と感じる人もいるかもしれない。

旧政府専用機の座席

 モックアップといっても、窓枠のパネルや手荷物の預け棚も実際に使われいたモノが並んでいる。また、トイレやギャレー(簡易キッチン)も設置しているので、いたるところで“ガチ”の香りが漂っているのだ。

 しかし、航空ファンであれば、一歩足を踏み入れただけで「あれ、なにかが違うぞ」と感じるはず。座席やカーペットは、日本の旧政府専用機と同じタイプのモノを使っているからだ。コックピットは「ボーイング737」、機体は「MD-90」、内装は「旧政府専用機」を採用しているので、実際にはあり得ない姿となっているのだ。

 それにしても、なぜシェラトンはこのようなサービスを始めたのだろうか。担当者の内藤大樹さんに聞いたところ「新型コロナの感染拡大によって、多くの人が海外に行けなくなりました。いまも自由に行くことが難しいですが、本格的なフライトシミュレーターを導入することで、思い出の地や憧れの国に行った気分になっていただければと思って、導入しました」という。

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