「NP1」の開発は、19年夏から社内で実施されたイノベーションプログラムがきっかけになった。パイオニアは経営立て直しの途上にあるが、イノベーションプログラムでは、会社の再建に寄与し、今後、何をすべきかの構想が練られた。
このとき見出された方向性が、音声のインターフェースを中心にして操作に伴うストレスをなくすこと。検討や構想を進め一定のメドが立った20年12月、同社内にNP事業本部ができ開発が本格化する。NPには「Next Product」「Next Platform」「Next Pioneer」という想いが込められている。
音声インターフェースに着目した理由は、大きく3つあった。1つめは、車載機器はできることが増えた一方で、タッチパネルやボタンが増え、その操作が年々複雑なってきていること。運転中のルート設定や操作、画面に注視することで、ドライバーの手、視線、脳に負担がかかるようになってきた。
2つめは、パイオニアが持つアセットの有効活用。同社はオーディオ機器メーカーであり、音に関するさまざまな技術やノウハウを豊富に持っている。カーナビでもすでに音声操作を実用化している。
そして3つめは、最近のクルマのダッシュボード形状の変化。NP事業本部プロジェクト推進グループ マーケティング・CX・CS戦略部 ブランドマネージャーの滝口翔大氏は次のよう話す。
「世界的な潮流として車種ごとに専用のナビゲーションシステムが採用されてきており、ダッシュボードの形状やシステムの制約が大きくなってきていることで、お客さまが市販のカーナビを取り付けたくても、物理的に取り付けられないクルマが増えつつあることが市販カーナビ事業の課題になっていました」
今やカーナビは、新車購入時に自動車メーカーが提供する純正品を装着する人が多く、機能も進化を遂げている。その一方で、純正カーナビにも普遍的な課題があるという。滝口氏はこう話を続ける。
「クルマを購入した瞬間から、カーナビは古くなっていきます。また中古車を購入する方もいらっしゃいます。最新の地図や機能・サービスを搭載したいという課題は、常に存在し続けていて、この解決策として市販カーナビを提供してきました。しかし、市販のカーナビを取り付けたくても、物理的に取り付けられないクルマが増えてきているため、置き換えたくても置き換えられないお客さまが一定数存在します。これも何とかしなければならない課題の1つです」
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