消費者の傾向、若者の価値観、働き方の変化――このコーナーでは、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略立案に役立つようなさまざまな調査データを紹介していく。
ふるさと納税市場の調査分析を行う「ふるさと納税総合研究所」(大阪市)は、総務省の発表をもとに、納税寄付額を「町」別に分析した。「町」の納税寄付額1位は「北海道白糠町」(しらぬかちょう、125億円)だった。
2位は「宮崎県都農町」(つのちょう、109億円)、3位は「北海道弟子屈町」(てしかがちょう、58億円)、4位は「茨城県境町」(さかいまち、48億円)、5位は「佐賀県上峰町」(かみみねちょう、45億円)だった。
1位の「北海道白糠町」と2位の「宮崎県都農町」は自治体職員のリーダーシップが目立ち100億円を超える寄付を集めたが、2位の「都農町」は法律の違反で、ふるさと納税の対象となる地方自治体の指名の取り消しを受けている。3位の「北海道弟子屈町」は、返礼品提供事業者が中間事業者の一部業務まで受託し、海に面していない自治体にも関わらず魅力的な加工海産物でカバーをした。4位の「茨城県境町」も、町長自らがふるさと納税のマーケティングに精通しあらゆるジャンルの返礼品をそろえており、特設サイトにて活用事業の報告も細かく行っている。
13位の「北海道当別町」はチョコレートのロイズ製品、15位の「熊本県御船町」は米、18位の「宮城県大河原町」は家電のアイリスオーヤマ製品が人気だった。ポータルサイトでのカテゴリーランキングに入ると、想定よりも多くの寄付を集めることができる。選択と集中を追求すれば、結果として自治体の知名度や立ち位置を高めることがうかがえた。
21位の「佐賀県玄海町」と、26位の「北海道上士幌町」は、ふるさと納税への取り組みが早かった。14年にはすでに10億円前後の寄付を集め、それからも安定している。地域産品のブランドを守ることを大切にしている姿勢が特徴的だ。返礼品やサービスの品質を維持することで、自治体や返礼品提供事業者に対する寄付者からの信頼が醸成され、結果として長期的、安定的な関係性が持続している。
ふるさと納税を巡っては、自治体間の過度な返礼競争が以前から問題視されており、都市部からの税収流出など、制度の在り方があらためて問われている。
ふるさと納税総合研究所は、「『市』でも『村』でもない、『町』の規模があれば、戦略的にリスクを取って勝負できると感じた。それだけ、財政状況が厳しいと言えるかもしれない。寄付者、返礼品提供事業者、自治体の持続的な関係を模索する時期に来ている」とコメントした。
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