不人気業種・業界に対し若者たちが「ブラック企業」などとどんどんそっぽを向かれてしまうことに加えて、これまで日本の低賃金・重労働というビジネスモデルを支えてくれた外国人労働者まで、日本に見切りをつけさせているからだ。
「魅力ない賃金、離れる人材 ベトナム人技術者の視界から消えた日本」(日経ビジネス 21年12月13日)には、日本のITベンチャーで働いていたベトナムの技術者がそこを退職して、本国に帰った後、日本の3倍以上の高賃金で英国の会社へ転職したケースが紹介されている。記事には、優秀なベトナム人から見た「貧しい日本のリアル」がこう記されている。
『残業を目いっぱいしても月収は20万円をわずかに超える程度。近年は、ホーチミンや首都ハノイの経済発展が著しく、日本とベトナムで収入に大きな差はない』(同上)
つまり、ちょっと前にお隣、韓国にまで抜かれてしまったことで大きな話題になった「低賃金」によって、外国人労働者の皆さんが続々と日本に見切りをつけているのだ。
そう聞くと、「治安もよくなるし、もう来るな! 日本は日本人だけで十分だ!」なんて感じで強がりを言う人もいるだろうが、「雇用ミスマッチ」で人手不足に悩む業種・業界はもはや外国人労働者なしには成り立たないところも多い。居酒屋などの外食やコンビニはその典型だが、農業などもそうだ。
つまり、海外ではあり得ないほど安くてうまい食事ができたり、信じられないほど安く高品質なサービスが受けられたり、「安いニッポン」を最下層部で支えてくれているのは、日本の若者たちが絶対にやりたがらない、低賃金ブラック労働を強いられても、朝ドラの『おしん』のように黙って歯を食いしばってマジメに働いてくれる外国人労働者のおかげなのだ。
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