このような日本経済の「暗部」が、コロナ禍によって徐々に覆い隠せなくなってきている。
例えば、「雇用ミスマッチ」はコロナでさらに深刻化している。総務省の労働力調査(詳細集計)によると、21年1〜3月の失業者214万人いるのだが、その中で「希望する種類・内容の仕事がない」と答えた人はコロナ前の19年の同時期に比べ20万人も増え、64万人となっている。
つまり、「第7波で感染者や濃厚接触者が増えて、もう休業するしかない!」と悲鳴をあげる業界や業種が山ほどある一方で、コロナ禍で人々の価値観が大きく変わっていき、「なんか、オレのやりたい仕事の求人がないんだよね」と働いていない人が20万人も増えているのだ。
さらに、「低賃金」も拍車がかかっている。日本では、最低賃金を過去最大の31円引き上げたことを受けて、「最低賃金など引き上げている場合ではない、賃上げは自分で勝ち取るくらいの気概が日本人には必要だ」とか「賃金を上げるよりも税金をゼロに!」という独自理論が広まっているが、米国でもEUでも東南アジアでもアフリカでも、そして台湾や韓国でも、日本以上の勢いで国や地域が最低賃金を引き上げている。
実際、韓国で今年度も最低賃金を大きく引き上げたことで、一時ではあるが、日本の全国平均最低賃金を超えた。アジアなどの「海外出稼ぎ労働者」にとって、「日本」を第一希望にして日本語や日本文化を学ぶ理由がどんどん薄れていっているのだ。
このような感じで、「働く人が足りない問題」はいつ表面化してもおかしくない「時限爆弾」のようなものだった。その起爆ボタンを押したのが、たまたまコロナの「第7波」だったというわけだ。
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