日本の国民食の1つ、牛丼。すき家・吉野家・松屋の牛丼御三家が君臨する中、“焼き牛丼”を武器に一大ブームを起こし、その牙城を切り崩そうとした存在を覚えているだろうか? 居酒屋チェーン「金の蔵」などを手掛けるSANKO MARKETING FOODSが運営する、「東京チカラめし」だ。
東京チカラめしは2011年6月9日、池袋西口に1号店をオープン。オープンのきっかけは、同年3月に東日本大震災が発生したからだという。「それまで当社は居酒屋メインで展開していました。しかし震災後、落ち込んだムードの日本全体に日常食から元気を与えたい、という創業者の思いから参入を決めました」(同社東京チカラめしビジネスユニット長、菊地美千子さん)。日本に元気を与えたい――そのため、店名にも「チカラ」という言葉を入れた。
創業者の平林実氏はもともとJR神田駅のガード下で「三光亭」という定食屋を営んでいた。三光亭のメニューはカレーと牛丼のみ。「原点回帰の意味も込めて、メインメニューを焼き牛丼にしました」(菊地さん)
焼き牛丼という珍しさやがっつり食べられるボリューム感から、若い男性を中心に人気を拡大。最盛期の13年秋ごろには、全国で132店舗を展開していた。
しかし、順調かと思われたこの店舗の急拡大が、皮肉にも影を落とすことになる。あまりにも拡大のスピードが速かったため、人材教育が追いつかなくなり現場が混乱。商品や接客の質が低下してしまったのだ。
その結果、徐々に利用客が減少。飛ぶ鳥を落とす勢いの店舗拡大から一転して、多くの店が閉店に追い込まれることになった。現在では、新宿西口1号店、新鎌ヶ谷店、大阪日本橋店の3店舗のみが残っている。
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