そこで必要なのが、世界の国で当たり前のように行われている「最低賃金の引き上げ」だ。
よく景気回復には大企業の内部留保がどうこうと言うが、大企業は日本企業の0.3%しかない。日本企業の99.7%は中小企業で、国内労働者の7割が働いている。ここの賃金をあげなくては、景気回復もへったくれもないのだ。
そういう話をすると決まって、「最低賃金の引き上げなどより減税すべし」「増税をやめれば、企業の業績は上がって日本経済は復活だ!という人たちがいらっしゃるが、実際にそれをやるとゾンビ中小企業が大量発生するだけで、賃金も上がらない。当然、経済も好転しない。
これまで徴収していた税金をチャラにするということは、届け方が違っているだけで国民に10万円をバラまいているのと変わらない。コロナ禍であれだけ金をバラまいても、先進国の中で日本だけが経済成長していないことからも分かるように、バラマキでは経済は強くならない。瞬間風速的に消費や業績に好影響があっても、賃金が低いままなので庶民は貧しいままだ。
実際、日本はこの「失われた30年」で1000兆円も負債を増やしてきた。しかし、景気も賃金もピクリと動いていない。いや、正確に言えば、大量のバラマキをしたおかげで、ただひとつだけ劇的に効果があった。それは「倒産の減少」だ。
内閣府の「日本経済2020−2021 ー感染症の危機から立ち上がる日本経済−」(令和3年3月)でも、「廃業率は、英国が11%程度、アメリカが8%程度と、開業率と同程度の廃業率となっているなかで、我が国の廃業率は1.5%程度と圧倒的に低い」とあるように、日本は世界で最も会社が潰れにくい国になった。
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