さらに興味深いデータもある。それは「ゾンビ企業が多い都道府県」だ。トップは「福島県」(17.7%)で、次いで「宮城県」(17.0%)、「宮崎県」(16.7%)と続いている。逆に、ゾンビ企業の割合が少ないのは「東京都」(7.3%)、「沖縄県」(8.0%)、「大阪府」(8.3%)という順番である。
中には首を傾げるようなところもあるだろう。特にゾンビ企業が「宮崎県」に多くて、「沖縄県」に少ないという結果に「なんで?」とモヤモヤする人もいらっしゃるのではないか。
ただ、そもそも中小企業の「ゾンビ化」がなぜ起こるのかが分かれば、これら2つの県がランクインしたのもそれほど驚くことではない。実はゾンビ企業をゾンビたらしめている「3大原則」がある。実際は経営破綻しているような中小企業が延命していくのは、以下のような条件が必要なのだ。
(1)国と自治体による中小企業支援や追加融資など優遇措置が充実している
(2)地域の賃金や家賃が安いので、固定費をギリギリ低く抑えられる
(3)開示できない“ブラックボックス経営”を引き継げる後継者がいる
まず、(1)に関しては当たり前だろう。利息も払えない企業がどうにか生き長らえているのは、ゼロゼロ融資など特例措置はもちろんのこと、手厚い中小企業支援や補助金、税制面など数多の優遇策がなくてはいけない。つまり、中小企業を元気にするための公的サポートが、本来は倒産していてもおかしくない死に体の企業を「延命」させて、ゾンビ化を招いている皮肉な側面があるのだ。
(2)も容易に想像できよう。利益がほとんどないゾンビ企業が10年以上も延命するには、固定費は限界まで低く抑えなくてはいけない。そこで最も手軽に削れるところといえば、従業員の賃金とオフィスの家賃だ。つまり、低賃金で家賃相場も低い地域であればあるほど、ゾンビ企業が生まれやすいのだ。
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