では、上記のようなHRBPの役割を果たすためには、どのようなスキルが必要だと考えられるでしょうか。
HRBPとは「事業戦略を実現するために、人事面で部門をサポートする役割」です。例えば、採用といった特定の領域に深く精通していることもサポートの役に立ちます。
しかし、HRBPとして部門長の悩みを解決するためには、「どの領域をどのように組み合わせて進めるのがよいか」と戦略人事の全体像を描ける人がより向いているといえるでしょう。
先ほどの事例の場合は、「新しい営業チームに誰をアサインすべきか」という部門長の悩みに対し、仕事の定義をした上で必要な人材の定義をするだけでなく、「今後各営業社員に同じような人材になってもらうにはどうすればよいか」という人材開発の方法までを整理することで、部門長をサポートできました。
どうしても人材がいないとなれば、中途採用や公募なども検討する必要があったでしょう。
また、HRBPは、従業員のアセスメント後における人材開発の方法として、研修だけではなく、当然部門間異動といった人材配置、場合によってはプロジェクトアサインにまで配慮する必要があります。
このように、HRBPが部門長の悩みに対して提案をするには、戦略人事の全体像を把握し、さまざまな観点で考えられるスキルが必要です。
HRBPは経営戦略を構成する部門戦略、ひいては毎期の部門目標の達成を、人事的な面でサポートする必要があります。そのため、HRBPには、少なくとも今の部門における目標の難易度、進捗、見込み、それらの理由など、部門目標にまつわるもろもろの事象を理解したうえで、部門長とディスカッションできるスキルが必要です。
部門の目標を現場部門長と同レベルの緊張感で常に考え、達成できそうなのか、できなさそうなのか、それを埋めるためにはどうすればよいか、という思考で仕事ができているか、が大きく影響します。
実際に日本企業でHRBPとして活躍している人には、直前の職種が現場部門、あるいは過去に現場部門に長く在籍していた人事部の従業員が多いです。
こうした現場経験を持つHRBPに共通していえることは、過去に在籍していた部門でその部門の目標について深く考察し、達成についてさまざまな取り組みをしてきた、という点です。
また理解するだけでなく、ディスカッションできることも重要です。部門長が明らかに間違っていると思われる判断を下そうとする場合、是正できるように働きかけるための根拠(戦略人事の全体像の把握含む)や、高度なコミュニケーション能力が必須といえるでしょう。
特に現場部門長が人事やHRBPに理解がない場合は、このポイントが非常に重要な要素になると考えられます。
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