“採用競争”に勝つカギは「現場」にあり 採用担当が現場に理解してもらうべき4つのこと採用競争に勝つ! ダイレクトリクルーティング(1/2 ページ)

» 2022年07月15日 12時00分 公開
[大浦征也ITmedia]

採用競争に勝つ! ダイレクトリクルーティング

引く手あまたのハイスキル人材を採るためには、従来の人材紹介などだけでは対応しきれなくなっている現代。攻めの採用手法「ダイレクトリクルーティング」について、パーソルキャリア「doda」編集長の大浦征也氏が解説する。

ダイレクトリクルーティングとは、「現場」と採用担当者の二人三脚

 前回の記事でもお伝えしたように、ダイレクトリクルーティングは人材紹介会社のサポートはあるものの、基本的には、採用に関わる全ての工程を企業の人事担当者などが自ら担います。

 人材紹介サービスでは、キャリアアドバイザーが効果的な面接の仕方をフォローしてくれます。また、企業に代わって、転職希望者の入社意向を高めるコミュニケーションを取ってくれます。

 求人広告を使えば、求人内に掲載するインタビュー記事を通じて、企業や採用予定部署、提供しているサービス、プロダクトの魅力を転職希望者に伝えることが可能です。

 では、ダイレクトリクルーティングで、入社意向を高めるコミュニケーションを取り、自社そして採用予定部署の魅力を伝えられるのは誰でしょうか? それは他でもない、「現場(採用予定部署)」の人たちです。言い換えると、業務内容や組織の風土などを一番よく知っている現場をどれほど巻き込めるか。それがダイレクトリクルーティング成功のカギを握るといっても過言ではありません。

 今回は、ダイレクトリクルーティングを開始するにあたって、採用担当者が現場に理解してもらわないといけないことをお伝えします。

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

現場に理解してもらうべき4つのこと

 ダイレクトリクルーティングを開始する前に、下記4点は必ず現場に理解してもらいましょう。

(1)作業量の多さを認識し、覚悟を持って臨む

 最初にお伝えしたように、ダイレクトリクルーティングは企業が主体となり採用活動を行います。具体的に言うと、求人票作成に母集団形成、面接設定・実施、さらには転職希望者の興味・関心、入社意向を高めるためのコミュニケーションなど、さまざまなことを自社で実施しなければなりません。

 母集団形成のためのスカウトメールは採用担当者が作成するケースが多いですが、より転職希望者にとって魅力的な内容にするために、現場側も仕事の面白さや組織の雰囲気といった情報を提供する必要があります。自社に興味を持ってもらうために、現場と転職希望者のカジュアル面談※1を実施することもあります。つまり、現場に「自分たちも動かなければいけない」という覚悟を持ってもらう必要があります。

(※1):選考の前段階に行われ、双方のことを知るための情報交換の場。個人側の転職の意志が固まっていないケースも多く、企業が個人に向けてアピールする場でもある。

 このように、現場は本業がありながらも、採用活動に携わることになるのですが、その作業量の多さを認識しておらず、活動を開始したとたん「こんなにやることがあるの?」「本業もあるのに……」という声が現場から挙がってくるケースが散見されます。

 前回の記事でもお伝えしたように、ダイレクトリクルーティングはピンポイントで欲しい人材にアプローチができ、さらには採用コストが押さえられるといったメリットがある一方、企業にはプロアクティブな行動が求められることを、現場に理解してもらうことが重要です。

(2)市況感は生き物である

 採用担当者は、“今”の転職市場の状況や、“今”市場に欲しい人材がどれくらいいるかある程度把握している一方で、これは仕事柄当たり前ですが、現場は転職マーケットの詳細な状況について、知識がないケースがほとんどです。さらに、それらの市況感はその時その時で変わるため、最新の状況を知っておく必要があります。

 例えば現在、IT人材を短期間でたくさん採用することは非常に困難です。しかし、このことを現場が理解しないままIT人材の採用に取り組んでしまい、「こんなにやっても全く採用できないならやめたい」と彼らの心が折れてしまう恐れがあります。

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