毎回好き勝手にテーマを決めて書いているのだが、珍しく編集担当からブランド論をテーマに書いてほしいとリクエストがあった。フォルクスワーゲングループとトヨタのブランド戦略の差は何なのか? というところに興味があるらしい。
とだけ書いて意味が分かる人ばかりでもあるまいから、少しその構造を書いておく。
フォルクスワーゲンは、いわゆるブランドビジネスの成功者とみなされている。一例としてゴルフとその派生車を挙げてみよう。
基本的には上から順番にブランドレベルが高い。一番下のシュコダは、グループ全体の廉価ブランドで、主に東欧圏に向けて安価なクルマを提供する。元々はチェコの独立系メーカーであり、1901年から自動車の生産を始めた第一期創業グループの老舗。第二次大戦前のチェコは欧州でも先進的な工業国だったのだが、現在ではフォルクスワーゲングループ内で、最廉価価格帯を担うブランドとなっている。
ついでセアトだ。綴りはSEATで、Sociedad Espanola de Automoviles de Turismo(スペイン乗用自動車会社)の頭文字からなる。FIATのFabbrica Italiana Automobili Torino(イタリアトリノ自動車製作所)と何となく名前の構造が似ているのは、元々スペイン内戦終了後に、スペイン政府とフィアットが共同出資して立ち上げたスペインの国策自動車メーカーだから。後にフィアットが撤退し、フォルクスワーゲン傘下に入った。高級車ブランドではないが、スポーツイメージが高く、庶民向けのスポーティなクルマを得意とする。
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