さて、長い昔話が終わったところで、フォルクスワーゲンのアウディにあって、トヨタのレクサスにないものは、やはり歴史ということになるだろう。
フォルクスワーゲンの戦略は、シュコダ、セアト、フォルクスワーゲンで、数をまとめてコストダウンしつつ、アウディでは利幅を大きく取るところにある。聞くところによると、フォルクスワーゲンに対してアウディの利幅は5倍ともいわれ、これが大きな収益源となっている。
ビジネスの骨格としてはほぼ同じエンジンとシャシーで構成されるクルマを、仕上げや装備を変えて、ブランドレベルに合わせた作り込みをするやり方だ。
同様にアウディのSUVの仕立てを変えてポルシェ製のSUVとして、こちらも厚い利幅を取る。このやり方こそがトヨタがレクサスで目指すものである。
ここまでみてきた通り、フォルクスワーゲンには戻るべきブランドの原点がある。実際4リングスを付けた異様な形の古いレーシングマシーンの姿を見せられれば、そこに伝統を感じざるを得ない。
ところがレクサスには戻るべき歴史があまりにも短い。日本製の自動車が世界でどうにか通用するようになったのはせいぜいが80年代。もちろん60年代からF1やスポーツカーレースなど国際格式のレースに出ていなかったわけではないが、そこで圧倒的な力を見せるまでには至らなかった。
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