さて、前回はGRMNヤリスがどうスゴいのかと、叩き売り同然のバーゲンプライスであることを書いた。そして「販売のトヨタ」ともあろうものが、売る方において全く無策ではないか? ということもだ。
ということで、後半ではトヨタはGRMNヤリスをどう売るべきだったのかを書いていきたい。
まずはなぜ500台限定になったのかというポイントだ。これはトヨタに確認した。主にカーボンパーツを中心に、どうやっても量産できない部品があったからだというのがその答えだった。
GRMNヤリスに奢られたカーボンのボンネット
それはまあ分からないではない。しかし筆者が一番気になるのは「限定台数しか作れない」のはあくまでもトヨタの都合ではないかという点だ。そのしわ寄せを全部ユーザーに被せるのはいただけない。
そして、もうひとつ。2020年の1月に、「GRヤリスRZハイパフォーマンス・ファーストエディション」を購入した最初の顧客に対する心遣いの無さである。ファーストエディションを買った人は試乗もせずに予約を入れた人である。レース技術がフィードバックされたという触れ込みの、GRヤリスの最高性能モデルの一番高いグレードを、まだ評判さえ分からないクルマを、自ら腹を括ってミズテンで買ったのだ。
それから2年、価格も性能もケタ違いの上位モデルが出た。技術というものは進歩するものなので、それ自体は仕方ないことだと思う。そしてGRMNヤリスのために開発されたアップデートパーツを、GRヤリスオーナーも購入できる。前編の2ページの展示されている部品の写真は、GRヤリスのためのアップデートパーツ群だ。しかも車両重量の差などを考慮して、GRヤリスをGRMNヤリスに近づけるためのチューニングまで行っている。ということはGRMNヤリスのパーツそのままではなく、GRヤリスにとって最適なアップデートになるように再チューニングが行われているということだ。その真摯な努力は認めざるを得ない。
しかしトランスミッションをバラしてギヤを組み替え、ショックアブソーバーも全交換となると費用もかさむ。そこはまあいいにしても、スポットの増設と構造接着材によるボディの強化の部分は、後からどうにもならない。筆者は、せめてGRMNヤリスの先行予約をこのファーストエディションオーナーに向けて受け付けるべきだったと思う。

すごいGRMNヤリス、素人同然な販売政策(前編)
GRMNヤリスに乗せていただいてきた。のっけから何だと思う読者諸氏も多いだろうが、思わずそう言いたいくらい良かったのだ。本当にこの試乗会くらい、呼ばれて良かったと思う試乗会もなかった。これに関してはもうホントにトヨタに感謝する。筆者の自動車人生の中で特筆に値する経験だった。
プレミアムって何だ? レクサスブランドについて考える
すでに昨年のことになるが、レクサスの新型NXに試乗してきた。レクサスは言うまでもなく、トヨタのプレミアムブランドである。そもそもプレミアムとは何か? 非常に聞こえが悪いのだが「中身以上の値段で売る」ことこそがプレミアムである。
GRヤリス 一番速いヤツと一番遅いヤツ
GRヤリスの試乗会は今回が3度目である。そして年の瀬の足音が近づいてきた今頃になって、ようやく公道試乗会に至ったわけである。多分GRヤリスが欲しいという大抵の人には、RZ“High performance”がお勧めということになるだろう。こういうクルマは、買ってから後悔するくらいなら全部載せが無難だ。
ヤリスの何がどう良いのか?
ヤリスの試乗をしてきた。1.5リッターのガソリンモデルに約300キロ、ハイブリッド(HV)に約520キロ。ちなみに両車の燃費は、それぞれ19.1キロと33.2キロだ。特にHVは、よっぽど非常識な運転をしない限り、25キロを下回ることは難しい感じ。しかし、ヤリスのすごさは燃費ではなく、ドライバーが意図した通りの挙動が引き出せることにある。
ヤリスのトレードオフから考える、コンパクトカーのパッケージ論
ヤリスは高評価だが、満点ではない。悪いところはいろいろとあるが、それはパッケージの中でのトレードオフ、つまり何を重視してスペースを配分するかの結果だ。ヒューマンインタフェースから、なぜAピラーが倒れているかまで、コンパクトカーのパッケージに付いて回るトレードオフを、ヤリスを例に考えてみよう。
GRヤリスで「モータースポーツからクルマを開発する」ためにトヨタが取った手法
トヨタは「モータースポーツからクルマを開発する」というコンセプトを実現するために、製造方法を変えた。ラインを流しながら組み立てることを放棄したのである。従来のワンオフ・ハンドメイドの側から見れば高効率化であり、大量生産の側から見れば、従来の制約を超えた生産精度の劇的な向上である。これによって、トヨタは量産品のひとつ上にプレタポルテ的セミオーダーの商品群を設定できることになる。
ヤリスGR-FOURとスポーツドライビングの未来(前編)
トヨタでは、このGRヤリスを「WRCを勝ち抜くためのホモロゲーションモデル」と位置づける。AWSシステム「GR-FOUR」を搭載したこのクルマは、ハードウェアとしてどんなクルマなのか。そして、乗るとどれだけ凄いのだろうか。
トヨタの大人気ない新兵器 ヤリスクロス
ついこの間、ハリアーを1カ月で4万5000台も売り、RAV4も好調。PHVモデルに至っては受注中止になるほどのトヨタが、またもやSUVの売れ筋をぶっ放して来た。
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