訴訟内容別では、いずれの年も最多は家賃滞納などでテナント所有者が立ち退きを求める「建物明渡・賃料」請求だった。19年は33件(構成比40.2%)と全体の4割を占めたが、20年は89件(同55.9%)と2.6倍に急増。コロナ禍の想定外の情勢変化で20年以降、資金繰りがつかず事業の頓挫や、長期の休業から家賃滞納する事業者が相次いだことがうかがえる。
また、従業員や業務委託者への賃金未納も19年6件、20年11件、21年8件とコロナ禍を機に増加。従業員だけでなく、コールセンターへの業務委託費の滞納も散見された。一方、コロナ前の19年に多かった「求償金」請求や建物オーナーからの「賃料増額」請求は、コロナ禍を機に減少した。
長引くコロナ禍で国や自治体が進めたコロナ関連支援。飲食業者にも給付金や支援金が行き渡ったことで資金繰りに余裕が生まれ、21年の飲食業倒産は前年の過去最多から一転して減少し、訴訟件数も21年は118件(前年比25.7%減)と落ち着きを見せている。
東京商工リサーチは、「コロナ関連支援策も徐々に縮小しており、コロナ前の業績回復が見込めない飲食店を中心に、先行きが不透明な状況が続いている。そのしわ寄せが再び、賃料や従業員の給与支払いに影響する可能性も浮上している」と分析している。
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