いきなりだが、クイズである。「お酒を造りたいなあ」と思ったとき、どうすればいいのだろうか。答えは、いまの法律だと「事実上不可能」である。
「えっ、そうなの? クラフトビールはたくさんあるのに、なぜ日本酒はダメなの?」と思われたかもしれない。酒税法第10条(第11号の需給調整案件)によって、戦後、新規参入した業者は存在しない。当局が新規の製造免許を認可していないのだ。しかし、そのぶ厚い壁を破って、日本酒を造ろうという企業がわずかながら存在している。
個人的に気になっているのは、秋田県の男鹿市(おがし)で展開している「稲とアガベ」だ。2021年3月に法人化したばかりの同社は、どのようにして日本酒を造ろうとしているのだろうか。先ほど、新規参入は「事実上不可能」と紹介したが、実は3つの方法で日本酒を造ることができる。
1つは、既存業者から委託生産で造ることができる。2つめは、既存業者を買収することで造ることができる。3つめは、海外で販売するのであれば、その日本酒を造ることができる。「稲とアガベ」は海外向けの日本酒を造っていて、香港に輸出している。
「なーんだ、日本酒を造っているからいいじゃん。これからも、がんばってね」と思われたかもしれないが、この会社がユニークなのは、その枠にとどまっていないことである。委託生産をせずに、買収もせずに、どのようなことを考えているのかというと、地元の男鹿市を「清酒特区」にして、それをきっかけに日本酒を造ろうとしているのだ。
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