7カ月で3000台! 無名ブランドの「ピザ窯」が、なぜ売れているのか外はカリ、中はフワ(2/5 ページ)

» 2022年09月08日 07時49分 公開
[小林香織ITmedia]

市販のピザ窯の“いいとこ取り”をした

 ピザをおいしく焼き上げるには、400〜500度の高温で均一に火が通ることが必要とされている。高温×短時間で焼き、余分な水分を飛ばしてうまみを閉じ込めることで、外側はカリカリと香ばしく、内側はふっくらとした食感に仕上がるという。

 21年12月にエンロが発売したアウトドア用ピザ窯「窯焼名人」は、このような“ピザをおいしく焼く条件”が整うよう設計されており、ピザ専門店のようなクオリティーのピザが焼けるという。燃料を入れてから15〜20分で窯内の温度が400度以上に急上昇し、わずか60〜90秒で1枚のピザが焼き上がる。

煙突から冷たい空気を逃がすことで、短時間で温度が急上昇するという

 アウトドアシーンで持ち運びしやすいよう、あえて窯の内側のステンレスを薄くして、重さを12キログラムにとどめている。窯の上部には取っ手を付け、一式をしまえる専用バッグも付属する。

 「窯焼名人」の仕様について、「売れている製品のいいとこ取りをして開発した」と伊藤氏は話す。アウトドア用のピザ窯は複数企業からさまざまなタイプが発売されており、安いものは数千円、高いものは4万円を超えるものも。最高火力が400度を超える本格仕様のものに限ると、相場は3万円前後といったところだ。

 開発にあたり、英国発の「Ooni(ウニ)」、米国発の「Bertello(ベルテッロ)」、国内ブランドの「KABUTO(カブト)」の製品を購入して使ってみたという。

 「使ってみると、いろいろな難点が見えました。例えば、煙突がないタイプは燃焼効率が悪く窯内の温度が上がりづらい。窯の入り口が狭いとピザを出し入れしづらい。ステンレスが厚く、しっかりしたつくりだと大人の男性でも重くて運べないなど。窯焼名人はそういった難点をなくして、他社製品の使いやすい部分をかけ合わせました」(伊藤氏)

ピザの出し入れがしやすいよう窯の入り口を広くした

 内側のステンレスを薄くしたことから、使用後にわずかなひずみが発生することもあるが、使用には問題がないそうだ。

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