「はじめから完璧を目指しすぎ」 日系が外資に勝てない根本理由外資系1年目の教科書(3/4 ページ)

» 2022年09月09日 06時30分 公開
[山口畝誉ITmedia]
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日本企業は“はじめから完璧を目指す”傾向が強い

 特にソフトウェアの世界では、バグがあるのは当たり前なので、まず市場に投入してからバグフィックス(修正)するとともに、改良を重ね続けます。今ではデジタルツールを使うことが日常的なため、スマホアプリが頻繁にアップデートされているというのは、日頃皆さんが経験している通りです。

外資系 ソフトウェアの世界では、市場投入後に修正・改良を重ねる(画像提供:ゲッティイメージズ)

 ところが、一方で日本企業では、はじめから完璧を目指す傾向がいまだに強いように見受けられます。それは、これまで日本市場や日本の経済をけん引してきたのが、ITやソフトウェアではなく、製造業だということも挙げられます。重工業においては製造に要する時間が長くかかります。また、例えば、人の命を預かるような製品であれば、バグフィックスというような悠長なことは言っていられないでしょう。

 しかしながら、「完璧を目指す」という考えが、製造現場のみならず、ホワイトカラーによる企画のような仕事にも浸透しきっているのはいただけません。これは、フラットにフランクに上司とコミュニケーションをしづらい環境があったり、上司に遠慮したり、組織の階層を飛ばすと大変なことになったりするのが理由として挙げられます。

外資系 日本は全ての業種で「完璧を目指す」考えが浸透しきっている(画像提供:ゲッティイメージズ)

 結果、せっかくいい企画でも、企画担当者が最初に構想を考えてから世の中に出るのは1年後、ということもザラにあるのです。それでは市場に投入したときには、既に環境が変わってしまっています。このようなやり方では、Time to Market 重視の、スピード感にあふれた外資系に勝てるはずがありません。

 はじめから完璧を目指さずフィードバックを得ながら練り上げていく。ぜひ、上司側はそれを受け入れてください。

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