シダックスというとカラオケのイメージが強いが、既に撤退している。同社は1993年にカラオケに参入。郊外に大型店を展開して食事も楽しむ、レストランカラオケのスタイルで急成長し、一時期は300店を超える店舗を全国展開して、業界トップに君臨した。
しかし、デフレが進行し人々のお小遣いが減る中で、低価格でボックスに飲食物を持ち込んでも良いスタイルの「まねきねこ」などに顧客がシフト。飲酒規制の強化で、駅前の繁華街でなければカラオケ業態が成り立ちにくくなったのも、業績に響いた。
不採算店舗の閉鎖などを進めたが改善の目途が立たず、18年に「カラオケ館」のB&Vへと事業売却して、カラオケから撤退した。
18年3月期のカラオケ事業は10億円を超える赤字、前年は6億円弱の赤字で、どんどん赤字が膨らむ苦しさだった。その時、シダックスはユニゾンの支援を仰ぎ、約65億円を調達した。ユニゾンは、あきんどスシロー(現・FOOD&LIFE COMPANIES)、東ハトなどを手掛け、実績が豊富だった。
現在のシダックスは、給食事業を柱に、21年3月期より黒字に転換し、再成長を見せている。22年3月期の売上高は約1155億円と、最盛期の08年の約2261億円から半分程度に縮小したものの、最終益は約41億円を確保した。
なお、コロワイドが買収も視野に入れていた、フードサービス事業は売上高約525億円で、ざっと半分のシェアを持っている。
オイシックスは2000年に設立したが、当初は経営が苦しくシダックスの出資を仰いだ経緯がある。当時は既にシダックスは確立した有名な会社で、信用力も高まってずいぶんと救われたという。
オイシックスの22年3月期決算は売上高が約1135億円、最終益は約27億円。コロナ禍でも売上高は前年同期比13%増と2桁伸びていて順調だ。
今回のTOBに関しては、「これまでBtoCの食品宅配で伸びてきたが、新しくBtoBも考えたい。既に保育園の給食向けに食品を卸しているが、シダックスと組んで本格的に食品卸を展開したい」(同社・広報)とのこと。卸売事業の確立を目指している。
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