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スーパー高校生の才能を生かせなかった、キャリア教育の悲劇知られていない(2/3 ページ)

» 2022年09月21日 08時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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世に知られていない大学院生キャリア

 ネット記事などでも日本有数の国立大学で博士号まで取得した人が、バイトすらままならない非正規な立場に置かれる、「超高学歴ワーキングプア」ネタがたびたび取り上げられます。また大学院生のキャリア状況を全く知らない人から「博士課程に進んだら人生詰む」とアドバイスを受けたという話も多くの博士後期学生から聞いています。

 私は15年の大学院生のキャリア支援を通じて、何百社もの博士受け入れ企業を開拓してきました。国立上位校博士後期課程を修了し、民間企業にキャリアを得る学生を今も多数指導しています。15年前と違い今は、博士というだけで門前払いするような大手製造業はまずありません。

 むしろ上場や大手メーカーの方が博士採用の可能性は高いので、学生の企業選択も修士や学部とは視点を変えることを指導しています。一方で民間就職以上に厳しく、狭き門であるアカデミアの進路についても、単に博士号があるから程度で進めるキャリアではないことを教えています。むしろ支援してきた学生でアカデミックポジションに進んだ博士学生は、民間企業でも堂々と通用するようなコンピテンシーの高い者が中心と感じます。

 国立上位校の理系であれば学部生の9割以上が修士に進学します。バリバリの基礎研究をしていても民間企業に就職する院生は、修士はもちろん博士でも普通にいます。研究テーマだけで採否を決める企業はまずありません。高いインテリジェンスと、研究で培った課題発見・設定能力をちゃんとアピールできれば実際に採用されています。企業のメガネに叶わず採用されないのは、文系学部生であっても全く同じ状況です。

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