これら4つのタイプは、あくまで大きな分類に過ぎません。例えば、本意型就業者だといっても、いま就いている仕事の内容は本意ではないこともありえます。働くこと自体は本意でも、希望する就業条件を細かく分解していけば、本意と不本意の条件が複雑に入り混じり、そのパターンは人の数と等しくなるはずです。
ただ、少なくとも4つのタイプに分類するだけでも、それぞれが抱える課題やその解決方法が全く異なることが見えてきます。
9月9日、共同通信は「『働く母』4人に3人で過去最高 21年、厚労省調査』と題した記事を掲載しました。児童(18歳未満の未婚の者)がいる世帯で、母親が仕事をしている割合は75.9%で過去最高を更新したとのことです。
記事の元になっている厚生労働省の「2021年国民生活基礎調査の概況」によると、児童がいる世帯の母の仕事状況は以下表のように推移しています。
「仕事あり」の“働く母親”は04年時点では56.7%です。それが年々上昇し10年に6割、17年には7割を超えました。働く母親の比率は年々増え続けていますが、これは果たして望ましいことなのでしょうか?
人口が減少の一途をたどっている日本において、労働力確保の観点から考えれば働く母親が増えることは望ましいことに違いありません。しかし、母親側の視点に立つと、個々に異なる景色が見えてきます。先ほどの分類表に当てはめて考察してみます。まずは、全体の約4分の3を占めるまでに至った働く母親についてです。
働く母親が本意型就業者の場合、基本的には希望が満たされた状態であり、増えるのは望ましいことだと言えます。ただ、いまの就業条件に100%満足しているとは限りません。そのため、理想の就業条件へといかに近づけられるかが課題となります。
例えば、勤務地や勤務時間などは希望条件に合致しているものの、いまの給与単価では扶養枠の上限を大きく超えて稼ぐことは難しいので致し方なく扶養枠内に抑えている場合があるかもしれません。あるいは、勤務地も勤務時間も給与も不満はないけれど、高校時代のアルバイトと職務内容が変わらないので、キャリアや資格を生かせる職務に就きたいと望んでいる場合もあります。課題解決には、希望条件を満たせる仕事を探して転職したり、いまの職場に異動を願い出たり、条件交渉したりといった方法が考えられます。
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