「綿の逆襲が始まる」 無印の「発熱インナー」はなぜ、合成繊維ではなく「綿」なのか合成繊維へのアンチテーゼ(2/3 ページ)

» 2022年10月06日 13時37分 公開
[ITmedia]

合成繊維へのアンチテーゼ 綿の逆襲が始まる

 あったか綿シリーズは肌着の基本素材である綿の力を最大限に活用した。なぜ綿なのか。開発においては「無印良品だから天然素材というのは先入観では?」「合成繊維のほうが機能性は高いのでは」「『無印っぽい』イメージでの短絡的な商品なのでは?」など、社内からも懸念する意見が多く挙がったという。

 「無印良品の商品開発のコンセプトは『アンチテーゼ』です。天然繊維よりも合成繊維のほうが機能的に上だ、というのは先入観ではないかと考えました」(山口さん)

無印 「天然繊維よりも合成繊維のほうが機能的に上だ、というのは先入観ではないか」と考え開発に至る

 産地開発部 素材開発担当の大常寿典さんは「天然素材って、超優秀なんです」と綿の機能性について語る。

 「そもそも合成繊維は天然繊維に勝とうとして開発を進めています。綿にはあらかじめ吸水性、吸湿性、保湿性、弾力性、伸張性が備わっていることに加え、生分解が可能です。対して合成繊維では、このような機能を付与したいと考えた場合、全て後工程で加工する必要があります」(大常さん)

無印 担当者は「天然素材って、超優秀なんです」と語る

 他にも綿には機能性インナーにとって“うれしい”機能が2つ備わっている。

 1つ目は肌に優しいこと。綿は水分量が他の化学繊維に比べて高く、肌の油分を過剰に吸収することがない。ポリエステルやアクリルは親油性で肌の油とくっつきやすく、乾燥を防ぐために必要な皮脂までもをふき取り、肌の乾燥を助長してしまうという。

無印 綿は肌に優しく、静電気が起きにくい

 2つ目は静電気が起きにくいこと。合成繊維の場合、静電気が原因で「チクチク感」「痒み」が生じることがあるが、綿は水分を含むため帯電しにくく、ウール素材のニット製品などを重ね着しても静電気が起きにくい。

無印 綿は「チクチク感」「痒み」が生じにくい

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