記者会見の質疑応答では質問機会を得られなかったため、あらためてソニーの関係者に取材してみると「EV事業への参入を表明しただけで、自分たちで生産・販売するとまでは発表していない」という。
確かにその通りだが、筆者と同じように少しモヤモヤとした疑問が頭に残っていた読者もいるだろう。そうした方は、以下のニュースでソニーのEV参入シナリオが大きく前進し、より明確になったと腑に落ちるのではないだろうか。
実は会見においてソニー・ホンダモビリティの川西泉社長(兼COO、ソニー・モビリティ社長)も、質疑応答でさらりと「消費者との接点はソニー・ホンダモビリティを通じて、ソニー・モビリティはその下支えをする」と、それぞれの役割の違いについて話した。さらりと流して話したため深掘りされてはいない。
しかし、技術基盤やアーキテクチャ、ソフトウェアやサービス面での構成要素は、ソニーがCES 2022で発表した「VISION-S」と同様の説明で、ハードウェア以外の差別化に関しては同じだったが、それも”ソニーが参入するEV事業=ソニーホンダ・モビリティの製品とサービス”と捉えるならば腑に落ちることだ。
一方で、自社工場を持たないファブレスメーカーであることに変化はない。
EVインフラが整い、EV普及政策が進んでいる北米市場をメインターゲットに、ホンダの北米工場で新型EVを生産。北米で先行発売しつつ、その後、日本でもするシナリオや、25年に受注を開始して26年にデリバリーされるスケジュールも、ホンダ本体があればこそだ。
ソニー・ホンダモビリティの水野泰秀会長(兼CEO、本籍はホンダ)は、同社が開発する新型EVに使うバッテリーや各種コンポーネントの調達に関して「生産そのものをホンダに委託するため、基本的にはホンダの戦略に依存する」と話し、ソニー・ホンダモビリティとして積極関与する部分ではないことを強調している。
さまざまな角度からの説明がなされているが、基本的にはものづくりの面で共通するDNAを感じ合った両者が協力し、ホンダのインフラを用いてホンダのラインアップとは異なるソニーのクルマを作り、それを市場で問うという理解で大筋は間違っていない。
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