自動車の生産や流通、保守の経験がないソニーにとっては渡りに船の話だが、実際にはホンダにとっても大きな意味がある。
自動車産業は分業が高度に進み、力のある部品メーカーとのパートナーシップが不可欠なことはもちろんだが、ステークホルダーが多いためビジネスの形を変えることは極めて難しい。
本格的な「EV+自動運転」の時代には、自動車の設計、生産、保守を基本としたハードウェア主体のビジネスの枠組みだけでは戦うことはできなくなる。一方で、現在の自動車産業がいまだにハードウェア主体で構成されていることも、確かなところだ。
水野会長は「ソニー・ホンダモビリティは、日本発のモビリティテックカンパニーとして、ハードウェア中心ではなく、ソフトウェアを中心とした価値、技術体系の確立を目指す」と話した。そのためにユニークなハードウェアを作るための囲い込みではなく、多様なパートナーとのつながりを目指し、他社にもオープンなプラットフォームを作っていくという。
言葉はホンダ出身の水野会長から出たものだが、川西社長がソニーでこれまで取り組んできた現世代のaibo事業、あるいはそれ以前に行っていたプレイステーション事業との共通性を感じる方も多いのではないだろうか。
ホンダの狙いは、ソニーが取り組むモビリティ関連のサービスプラットフォーム構築を共に行うことで、ハードウェア中心のビジネスモデルからネットワーク化された社会に適合したビジネスモデルへと徐々に切り替えるための資金石とすることだろう。
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