進化する賃貸住宅 ジム、サウナに“映画館”付の部屋まで登場 「住む」だけじゃない付加価値のイマ“おうち時間”増加も影響(3/4 ページ)

» 2022年10月19日 05時30分 公開
[中川寛子ITmedia]

 バイオフィリックデザインを賃貸マンションへ取り入れ、コンセプト型にリノベーションされたのが渋谷区幡ヶ谷にある「LEAF COURT PLUS(リーフコートプラス)」だ。中庭が“緑の洞窟”になっているだけでなく、地下共用部にあるワークスペースも緑を囲みテーブルが配されているほどのこだわり。ここまで建物内に緑があれば、どこにいてもその借景が視界に入る。外の公園へ息抜きに行かずとも、中庭のベンチで深呼吸するだけで気分は変わり、心身ともに豊かになるというものである。

中庭の中央にはベンチ、テーブルが用意されており、座ると緑の中に囲まれる状態になる“緑の洞窟”(筆者撮影)

ジム、サウナ付き物件も登場

 仕事の場としての住まいが求められる一方で、健康、リラックスといったキーワードも重視されるようになっている。外出の機会が減って体重が増えたなど、健康への意識が高まっているためか、オンラインエクササイズや24時間利用できる小規模ジムに人気が集まっているが、賃貸住宅でも同じような傾向がみられるのだ。前述のリーフコートプラスでは共用部にエアロバイクやスミスマシンといった機材を備えたジムがあり、ストレッチスペースも用意されている。

 リラックスという意味では、冒頭で紹介したWell-Blend阿佐ヶ谷にある、1人用のフィンランドサウナとユニットバスに注目したい。サウナ人気は高まる一方だが、賃貸住宅の共用部として取り入れている例はまだまだ希少であるため、差別化として大いに有効だ。好きな人には強くアピールできそうである。

まだまだ希少だが、1人用サウナを備えた賃貸物件も出始めた。画像はWell-Blend阿佐ヶ谷のもの(提供:リビタ)

 特別な設備ではないものの、このところ利用が増えているのが屋上だ。これまでは安全面などを懸念し、なかなか使われていなかった空間だが、気分転換、軽作業などの場として開放する例が増えている。Wi-Fiが使え、ベンチがあるだけというシンプルな空間も多いが、屋上が使えるだけでプラスに感じる人が多いのは、なかなか不思議でもある。

 もう一つ、自室で食事をする人が増えたことへの対応だろう、提供される内容はそれぞれに異なるが、Well-Blend阿佐ヶ谷、リーフコートプラスでは建物内にカフェを設置している。

“おうち時間”の増加で新たなコンセプトも登場

 家にいる時間が増えたことで趣味にいそしむ人も増えた。それに対応した、一般的な賃貸住宅とは全く異なるコンセプトの住宅も出ている。

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