では続いて、円安によるプラスの影響についてもう少し詳しく見ていきましょう。
営業利益の変動要因を見ていくと、輸出入などの外貨取引による業績への為替変動の影響として1950億円ほどプラスの影響があったとしています。それこそ円安が大きく進んだ対米ドルでは、2150億円のプラスの影響がありました。まずは本業の利益を表している営業利益で円安の影響が表れてきています。
それではなぜ、円安が営業利益にプラスの影響をもたらすのでしょうか?
トヨタのビジネスモデルは、基本的には輸入材も含めた資材を使って、自動車という付加価値のある形にして売るというものです。現状、輸入材は円安で高騰していますが、販売される際には輸入材にも付加価値がついた状況で売られることになるので、円で見た際の業績にはプラスに働きます。
さらに、円安が進んでも、加工する国内の労働力のコストが変わらなければそれも利益の好調さに寄与します。
例えば100ドルで輸入したものを国内で5000円で加工して、200ドルで販売するとします。この取り引きのドルベースでの利益を、「1ドル100円」と「1ドル200円」でどのような違いが出るのか考えてみましょう。
このように円安の分だけ国内の労働力が割安になるわけですから、ドルでの売値が同じであればドルでの利幅が増加します。
続いてそれぞれの売り上げと利益を円換算してみると、1ドル100円の場合、売り上げ2万円で5000円の利益です。1ドル200円の場合は売り上げ4万円で1万5000円の利益となり、売り上げ・利益ともに大きくなります。
コスト面で考えると、100ドルの輸入材の価格も円安に伴い1万円から2万円へ値上がりしていますが、輸出入のトータルだとそれ以上の好影響があると分かります。円安が起きれば輸入材も円換算では値上がりするわけですが、付加価値分も値上がりし、労働力は割安になるので輸出入のトータルで見るとプラスの影響が出るというでことす。
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