では包括利益が大幅に増加した要因が何なのかというと、それは「在外活動体の為替換算差額」という項目が、前期は789億円だったのに対し今期は9181億円と、大幅に増加していることです。
この「在外活動体の為替換算差額」とは何でしょうか? ここにも会計的な知識が必要になるので、正確ではありませんが、おおよその意味の理解を優先して説明すると「海外子会社の資産も、円ベースで考えたら値上がりしていますね」というものです。
例えば、海外子会社が持っている工場や機械も、円安が進むと円換算した際には値上がりします。こうした影響を表すものです。
海外子会社を多数抱えるトヨタは海外資産も多く、大きく円安が進む中で円ベースで見た際の資産価値が大きく増えています。海外子会社を多く抱えるグローバル企業では、この包括利益へ与える影響が非常に大きくなります。
今回は、決算書に為替が与える影響について見てきました。次回は、レオパレスの決算書を例に引当金について考えます。
決算は現場にある1次情報とメディアで出てくる2次情報の中間1.5次情報です。周りと違った現場により近い情報が得られる経済ニュースでもあります。上場企業に詳しくなりながら、決算書も読めるようになっていく連載です。
voicy:10分で決算が分かるラジオ、note、Twitter、YouTube
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング