また、先述した営業利益の変動要因を改めて見てみると、その他の項目で「評価スワップ損益ほか」というのが988億円のマイナスの影響を与えていることが分かります。グローバル企業にとって、為替の変動による影響は当然ながら大きいため、極力リスクを低下させたいわけです。
もちろん、現状のような円安では輸出企業にとってはプラスの影響がありますが、反対に円高になればマイナスの影響がもたらされます。こうしたリスクヘッジのために、輸出企業の多くは円高になった際に利益が出るような金融取引をしています。その一部が表れているのが、「スワップ評価損益」です。
つまり、円安が進む状況下で、トヨタは円高に振れたときのためのポジションも持っていたため、マイナスの影響があったということです。
ちなみに、最も大きく円安が進んだ北米事業では、ドル建ての取り引きが多く、大きなマイナスの影響が出ています。スワップなどの評価損益を除いた営業利益が880億円であるのに対し、スワップなどの評価損益を含んだ営業利益は145億円です。あまりに急激な円安が進むと、金融取引からの悪影響は大きくなるのです。
円安がさらに進む今後の業績でも、スワップ評価損益によって円安の好影響が一部相殺されることになりそうです。
評価スワップ損益に関して説明しようとすると、会計や金融商品の知識も絡んでくるためここれは割愛します。しかしあらためて説明せずとも、「グローバルで大規模展開している企業は、リスクヘッジ目的の取り引きをしているため、プラスの影響があっても、むしろマイナスの影響も小さくなることがある」ということは分かっていただけたのではないでしょうか。
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