YUGOによると、BreakingDownの運営はブランディング、マッチメイキング、スポンサー集めなどを分業制にしていて、LINEグループだけでも10以上あるという。さまざまな会社、個人を集めてトライ&エラーを繰り返し、緻密に運営している。
しかし、急成長していることで、人員が追い付いていない実情も垣間見える。YUGOは「次のBreakingDownスケジュールとバン仲村さんへの連絡不備について」というタイトルのYouTube動画で、BreakingDown6でYUGOと戦うバン仲村への連絡不備について語った。特に運営側のメール対応に問題があったことを率直に認め、改善案を示しつつ、謝罪もしている。
企業には常に透明性が求められている。その点、YUGOは運営の不備を隠そうとはしていない。謝罪をしつつ、ネガティブな部分も公開してしまうことによって透明性を確保した。おまけにPVまで稼ぐ「1石3鳥」としている。
アクシデントへの対応とリスクマネジメントは、どの企業にとっても重要な課題だ。筆者はBreakingDownというコンテンツの大きなリスク要因は参加者のケガだと考えている。オーディションでは女性参加者が、11月2日の前日記者会見では男性の参加者がケガをした。これはSNS上で“炎上”している。
このリスクはリング上でも同様だ。一般論だが、アマチュアの試合では、想定以上の大ケガが発生する確率がプロ同士よりも高いといわれている。運営側は医療スタッフを用意し、参加者にルールの徹底を呼び掛けるなど適切に対処をしているものの、実際にケガは発生してしまった。もし大事故が発生した場合には、「素人にやらせるからだ」という非難が間違いなく噴出するだろう。
その際には「想定していなかった」では済まされない。中小企業庁のWebサイトによれば、リスクマネジメントとは「組織的に管理(マネジメント)し、損失等の回避又は低減を図るプロセス」だという。予測し得ないことまで含めて対策を講じることがイベント事業者には求められるのだ。
ネットを主体とするコンテンツであり、マイナスの評判がSNS上で立ってしまえば挽回するのは容易ではない。アクシデントを回避するためのリスクマネジメントには、今以上に注力する必要があるだろう。さもなければ「あのときが潮目となってBreakingDownが衰退した」と振り返る未来もあり得る。そうならない未来を願いたい。
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