格闘技業界でジワジワとPPV(ペイパービュー。有料コンテンツに料金を支払って視聴するシステム)というビジネスモデルの存在感が日増しに強くなっている。ボクシングでは村田諒太さん、井上尚弥さんの世界戦をAmazon Prime Videoが配信し、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が持っていた視聴記録を更新した――。(以下、一部敬称略)
そして、6月19日に東京ドームで開催された格闘技イベント「Yogibo presents THE MATCH 2022」では、那須川天心と武尊の“世紀の一戦”が開催。PPVで全試合を中継したABEMAを運営するサイバーエージェント執行役員の藤井琢倫さんによれば、PPVのチケット購入者は50万人を超えたという。
格闘技業界で次に記録を更新することを期待されるのが、朝倉未来さんがプロモートする「1分1ラウンド」で最強を決める総合格闘技エンターテインメント「BreakingDown」だ。3月に開かれた「BreakingDown4」では、関連動画の総再生数は2200万回を超えたことから、7月17日に開催する「BreakingDown5」では、ライブ配信プラットフォーム「BreakingDown LIVE」やABEMAのPPVが、どこまで視聴者数を伸ばせるのか注目だ。
すでに登録者数250万人を超える朝倉未来さんのYouTubeチャンネルでは、BreakingDown5のオーディション動画が連日300万回を超える大ヒットを記録している。
その「BreakingDown」を運営、ブランディング、プロデュースする「バズるブランドを創る会社」レディオブック(東京都渋谷区)の代表取締役CEO・YUGOさんを新進気鋭の経済アナリスト、森永康平さんがインタビューした。
――回を重ねるごとに注目を集める「BreakingDown」ですが、どのようなキッカケで始まったのですか?
朝倉未来さんがYouTubeで、「1分での試合があったら面白くなると思うんですよね」みたいな話をしていたのをみて、直感的に面白いと思ったんですよね。僕はもともとUWFインターナショナルで活躍した田村潔司さんに弟子入りをしてプロレスをやっていました。 プロレスっていうのはサンタクロースに例えられることがあって、フェイクだったと分かると離れていく人も少なくありません。でも、田村さんの理想は「魅せるんだけど、強い」というものでした。
桜庭和志さんも「プロレスラーは強い」と言ってくれましたし、自分の中でも格闘技に対して「幻想と強さを両立させたい」という気持ちがありました。それで、1分で勝負を決めるなら幻想も保たれるし、同時に強さも求められる。しかも、1分だけならアマチュアがプロに勝つ奇跡も起こるかもしれない。仕組みを変えるだけで格闘技の風景が変わるかもしれないな、と思ったんです。
――朝倉未来さんが話していた内容がヒントになっていたんですね。朝倉未来さんとはもともと知り合いだったのですか?
いえ、知り合いではありませんでした。1分1ラウンドの格闘技を一緒にやりませんか、と僕からアプローチしたのがきっかけです。当社はフェラーリと公式パートナーシップ契約をしているのですが、朝倉未来さんもフェラーリを持っているので、そのあたりもアピールしたんですよね。そしたら、割とすぐに連絡がきてBreakingDown発起人で“闘う弁護士”の異名を持つ堀鉄平さん、そして朝倉未来さんと打ち合わせをしたんですよ。
――BreakingDownという名称は、どんな経緯で決まったんですか?
BreakingDownの名称は、レディオブックのクリエイティブディレクター前田高志さんと一緒に決めました。前田さんがロゴも作ってくれました。「いまある格闘技のイメージを壊していきたい」という思いが名前の由来になっています。
格闘技って、見ている層がコア層ばかりなんですよね。マニアックすぎると思うんです。寝技の攻防とか、ジャブの差し合いとか、コアなファンは面白いかもしれない一方、一般の人には分からない。でも、1分1ラウンドだと殴り合って終わるから分かりやすいんですよ。もちろん、1分1ラウンドといっても、実際には技術も必要ですが、それは分かる人だけが分かればいい。格闘技の裾野を広げて、興味を持つ人を増やすという観点では非常によくできた仕組みだと思っています。
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