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朝倉未来がプロモートする「BreakingDown5」 格闘技ビジネスの構造を変えるか?イベントトップを直撃(2/5 ページ)

» 2022年07月13日 07時00分 公開
[森永康平ITmedia]

いかにして感情移入させるか

――YUGOさん自身も、格闘家としてのキャリアがありますね。

 23歳でボクシングを始め、24歳で田村さんの所に弟子入りしました。それで、1年半後に格闘技団体「DEEP」の大会に出ました。でも、プロ格闘家になることを目的にしていたからか、プロになった瞬間に燃え尽き症候群になったんですよね。

 でも25歳で結婚して、28歳で子どもが生まれて、「このままじゃダメだ」と思ったけど働きたくもなかった。だからiPhone修理の個人事業を始めたんですよ。そうやって、さっと格闘技を離れたからこそ、いまの格闘技業界を俯瞰できている部分もあるのかもしれません。

photo 「さっと格闘技を離れたからこそ、格闘技業界を俯瞰できている」と語るYUGOさん

――なるほど。格闘技を客観的に見られるからこそプロデュースができるのかもしれませんね。前回の第4回大会は関連動画も含めれば総再生数2200万回を超えるなど、熱狂的な盛り上がりを見せましたね。

 はい、かなり盛り上がったと思います。出場選手を決めるオーディションの動画は3回に分けてアップロードしましたが、合計で1600万回、試合自体の動画が400万回。煽りVTR、インタビューなども200万回以上ですから合計で2200万回ぐらいです。いろいろな人が作っている切り抜き動画を入れたら、再生回数はもっと回っているでしょうね。

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――これまで4回やってきて成功した点、改善すべき点はそれぞれありますか?

 「1分1ラウンドの戦いは絶対面白い!」と、やる前から思っていたんですけど、実際にやってみたときにどうなるかを確かめる必要がありました。なので、外側をブランディングする前に、試合が面白いかどうかの確認が必要でした。そこをしっかり確認しようというのが前年の課題でした。そのため、いろんな試合を60試合ぐらい試しました。「一般人vs.プロ」とか異種格闘技などもやってみました。

 加えて安全性の確認にも時間をかけました。ワンデートーナメントも1分1ラウンドであれば選手に負担がないのかなども含めて試しました。

 ABEMAの「朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円」企画が、オーディションをやっていてバズリました。それで、朝倉未来さんが「BreakingDownでもオーディション動画を放送したら面白いのでは?」と提案してきたんですよ。僕もそのオーディション動画を見ていて、TBSの「ガチンコ・ファイトクラブ」を想起したんですよね。ストーリーを見せることによって、いかに感情移入させるか。これが重要だなと思いました。

 BreakingDownに出るのはほとんどが一般人です。試合も1分だから、RIZINさんが放送している「RIZIN CONFESSIONS」のようなVTRを作っても、費用対効果が合うのかも分かりませんでした。そこで、オーディション動画ならコストもかけずにストーリー性が作れることを実感できました。

 朝倉未来さんのアイデアマンっぷりはすごくて、どんどんアイデアが出てくるんですよ。でも、パっとアイデアが出てくるのは良い一方で、それをしっかりと受け止めて具現化する必要があります。例えば、前回大会では計量も動画にしようというアイデアが、直前に出てきて実現させたのですが、計量動画は少しみすぼらしかったんですよね。いまは反省を生かして、しっかりと朝倉未来さんの打率の高いアイデアに即対応できるチームを組んでいます。

photo オーディションの風景
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