仕組みに問題はないのか 高齢者が病院に行きすぎてしまう理由海外と比した(1/3 ページ)

» 2022年11月08日 07時00分 公開
[川口雅裕INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

 組織人事コンサルタント (コラムニスト、老いの工学研究所 研究員、人と組織の活性化研究会・世話人)

 1988年株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報および経営企画を担当。2003年より組織人事コンサルティング、研修、講演などの活動を行う。

 京都大学教育学部卒。著書:「だから社員が育たない」(労働調査会)、「顧客満足はなぜ実現しないのか〜みつばちマッチの物語」(JDC出版)


 高齢者で、「月に1回以上、病院や診療所に行く人の割合」は、日本が6割、米国は2割、ドイツが3割、スウェーデンは1割。そうなる理由は?

 内閣府は1980年から5年に一度、「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」を実施しています。2020年に発表された調査から、高齢者の健康と医療に関する日本の状況について概観してみたいと思います。(調査対象は60歳以上で、老人介護施設などへの入所者は除かれています)

 まず、健康状況については表のようになっています。

 「健康である」「あまり健康とはいえないが、病気ではない」を合わせると、日本は男性が91.2%、女性が92.2%となっています。米国、ドイツ、スウェーデンもあまり差がなく、各国とも高齢の人たちの約9割が、病気ではない健康な状態であることが分かります。

 なお、80歳以上に限って見てみても同様に、日本は88.4%、その他3つの国でも85%超と高い数値になっており、少なくとも調査対象になった国では、身体的健康という意味では高いレベルにあるといえるでしょう。

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