イーロン・マスク氏が米ツイッター社を買収してからというもの、その混乱が収まる気配はない。11月4日には全従業員7500人のうち約半数を解雇したとAFPが伝えた。
影響は日本法人にも及んでいる。日本経済新聞の報道によれば、広報部門の全員が人員削減の対象になった。この他、「自身が解雇されるか、雇用を継続するかに関する英語のメールが送られてきた」という複数の証言がある。
そんな中、関係者と見られる複数人のTwitterへの投稿内容が物議を呼んでいる。ツイッター社員の社用PCが起動しなくなり、社内ツールにアクセスできず、社用メールのパスワードも変更されていたと、社内ネットワークから突然締め出されたことを報告するものだ。
解雇の自由度が高いと言われる外資系企業とはいえ、国内の出来事である。外資系企業がこうした強引な解雇を実施する場合、労働者は日本の法律で守られるのだろうか。労働法に詳しい弁護士の佐藤みのり氏に話を聞いた。
──解雇に関する説明を確認できないまま、突如として社内のネットワークから締め出されたという声がありました。こうした突然の解雇は、違法ではないのでしょうか?
佐藤氏: 日本では、有効な整理解雇を行うにあたって、手続きの相当性も重要になります。具体的には、労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模、方法について納得を得るための説明や協議が必要です。
この考え方に立てば、何の説明もないまま、突然社内のネットワークから締め出したことをもって有効な解雇とは言えません。ツイッター社の意図は定かではありませんが、強制的な退職勧奨(使用者が労働者に退職を勧め、合意の上で労働契約を解消しようとすること)に当たりそうです。
退職勧奨は、「労働者の任意の意思を尊重し、社会通念上相当と認められる範囲内で行われる限り違法性を有するものではない」とされていますが、説得のための手段、方法が相当な範囲を逸脱するような場合は違法です。
突然、社内ネットワークから締め出すことは、明らかに相当性に欠け、違法性が認められる可能性があるでしょう。こうしたことで一切仕事ができない状況に陥ったとしても、焦って退職届などにサインをするのではなく、労働組合や弁護士に相談し、会社と交渉することが大切です。
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