狙うBOSE超え――NTTが世界初とうたう「音閉じ込めイヤホン」は本当にすごいのか?開発のヒントはイルカ:(2/3 ページ)

» 2022年11月10日 12時18分 公開
[菊地央里子ITmedia]

没入から共存へ

 NTTの川添雄彦副社長は、デジタル技術を駆使するこれまでの音響開発は、人間中心のやり方だったと振り返る。「イルカは仲間同士でしか聞こえないテレパシー通信を可能にしています。このように自然に目を向けることによって、これまでの常識や技術先行の開発姿勢から離れて、全く違うアプローチを試みました。その結果、PSZ技術を開発することに成功しました」(川添副社長)。

NEWM NTTの川添雄彦副社長(発表会で記者撮影)

 PSZ技術により音が周囲に漏れにくい一方、電車や建物内のアナウンス、人の呼びかけなど周囲の音を聞き取れるよう、数百回以上のハードウェア改良を実施した。また、耳をふさがないため、長時間装着による耳へのストレスを軽減するという。NTTソノリティの坂井博社長は、「このイヤホンを使うことで、これまでの“没入する”音楽体験が、利用者と周囲をシームレスにつなぐ“共存する”ものへと進化します」と力説する。

NEWM NTTソノリティの坂井博社長(発表会で記者撮影)

 オープンイヤー型イヤホンは、同日に発売した有線モデル「nwm MWE001」(8250円)とワイヤレスモデル「nwm MBE001」(オープン価格)の2種類を用意。有線モデルはAmazonのECサイトで発売し、ワイヤレスモデルは今冬に実施するクラウドファンディングを経て、来春の一般販売を予定している。

NEWM 有線モデル「nwm MWE001」(発表会で記者撮影)
NEWM ワイヤレスモデル「nwm MBE001」(発表会で記者撮影)

 現時点ではイヤホンタイプのみの展開だが、今後はヘッドホンタイプの製品化も検討中だという。販売経路も、ECサイトから家電量販店などの店舗販売へ徐々に拡大する予定だ。業務提携した伊藤忠商事とともに、米国や欧州などの海外展開も順次実施していく。

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