発売直後の売れ行きは予想以上だった。ノック音の静かさは小売店やユーザーのウケが良く、デザイン性の高さや革調グリップの評判も高い。輸出もアジア中心に始まっており、欧州からも引き合いが来ている。
軸色別に見ると、ブラックの次にカーキの売れ行きが健闘。Calmeでは推しの色だというカーキは、ぺんてるという日本企業がボールペンをつくることの意味を考えた末に採用された。中沢氏はこう話す。
「軸色はワビ・サビの世界の中で成立するモノをモチーフにしています。黒は鉄瓶、グレイッシュホワイトは漆喰からイメージしたのですが、カーキは茶道具からイメージしました。日本の会社がつくることの意味を考え、日本だからできるモノを出すことにこだわりました」
ただ、課題もある。製品戦略部マーケティンググループの飯塚愛美氏はこう指摘する。
「ボールペンは競合製品が多いので、店頭でいい場所を確保するのが至難のワザです。新しい製品もどんどん出てきますので、時間が経つにつれて勢いがだんだん落ちてきました」
認知を高めて再び店頭で注目を集めるため、そしてユーザーから「カラーバリエーションを増やしてほしい」という声が多いことから、同社は22年10月、新しい軸色を追加した。追加したのは新定番色のベージュとターコイズブルー、限定色の空翡翠(そらひすい)と栗紫(くりむらさき)の4つ。単色・多色で用意した。
Calmeの新色追加は今回が初めて。生活の道具として尊敬できる存在か? という観点から検討して色を決めた。限定色の空翡翠と栗紫という色名は、ぺんてるがつくった造語である。
限定色について飯塚氏は、「好みが分かれそうな色味のため、限定色で展開したほうがササると判断しました。一方で、長く安定して売れそうなモノは定番色に採用しています」と話す。情緒的なネーミングは文具トレンドの1つで、ネーミングに引かれて購入してもらうことも期待している。
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